世界的投資家が危惧する日本の「致命的な弱点」

いますぐ取り組むべき生存戦略
 ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロスと並び「世界三代投資家」の一人として名を馳せる投資家、ジム・ロジャーズ氏。「日本好き」を公言する彼は、なぜ移住先に日本を選ばなかったのか。そこには、日本が抱えるいくつかの深刻で解決が難しい問題が横たわっている。日本好き、日本人好きとして知られ、最新刊『ジム・ロジャーズ 世界的投資家の思考法』を上梓したばかりのロジャーズ氏が、その問題点と解決策を示しながら、日本人のためのメッセージを送る。
 

素晴らしいけど借金まみれの国・日本

私はこれまでに2度、世界一周旅行をして、6大陸116ヵ国を訪れた。そのなかでも日本は最も好きな国のひとつだ。これを日本人向けのリップサービスと思っている人もいるようだが、噓偽りない私の本心だ。

日本ほど豊かな食文化が発達している国を知らない。最高のイタリアンレストランは、イタリアではなく日本にある。最高のウイスキーは、スコットランドではなく日本にある。そして、私は何より日本のウナギ、スシが大好きだ。シンガポールにもたくさんの日本料理店はあるが、やはり本場の味にはかなわない。

だから、四六時中、日本へ飛んで行って、本場の日本食、とくにウナギを食べたいと思っているくらいだ。

それだけではない。京都を代表とする歴史都市も多く、文化も素晴らしい。そして、日本人女性は美しい。私はアメリカからシンガポールに移住して10年以上経つが、それほど好きな日本になぜ移住しなかったのかと疑問に思う人も多いだろう。

その答えはシンプルだ。莫大な借金があり、しかも子どもをつくらない国には、未来がないからだ。

日本人よ、武器を持て!?

私には60歳を過ぎて授かった高校生と小学生の2人の娘がいる。これからアメリカの時代が終わり、中国に覇権が移る。その未来を見越して、私は最愛の娘に中国語を学ぶことができる国で教育を受けさせたかった。それが将来、彼女たちの大きなアドバンテージになるからだ。

もし私がいま10歳の日本人ならば、AK-47(自動小銃)を購入して日本に居残るか、国外に脱出することを考える。日本に居住し続ければ、これからの人生で大惨事に見舞われる可能性が高いと言わざるを得ないからだ。

「自動小銃を買う」とは、少々刺激的かもしれない。この表現に眉をひそめる人もいるだろう。ただ、大好きな日本の人たちには、あえて強い言葉を使ったほうが私のメッセージが伝わるのではないかと思っている。

もちろん、むやみやたらに銃を撃たなければいけない世の中になると言っているわけではない。10歳の子どもが40歳になったころ、日本社会が今では想像できないほど不安定化している可能性があるということだ。今後、日本が衰退していき、社会不安が広がれば、東日本大震災などの国難にあっても取り乱すことがなかった日本人といえども、殺人を含めたさまざまな犯罪が増え、暴動も起きるかもしれない。

当然のことながら、大好きな日本が衰退することを私は望んではいない。しかし、日本が少子高齢化や増え続ける国の借金を解決できなければ、30年後、いま日本が抱えている社会問題はより一層深刻化しているだろう。その時、自分の身を守るために、自動小銃が必要になるかもしれないと言いたいのだ。

私が日本人なら、未来が暗いとわかっている国から一刻も早く飛び出すことを考える。これは私の意見でもなければ、未来予測でもない。少子高齢化、国の増え続ける借金という2つの大きな問題は、簡単な算数ができれば、その行き着く先は誰でも簡単にわかることだ。