きちんと現状を説明すると、現金については3月末時点で120億円が残っていましたし、4月末の時点でも、予想より多く35億円が残りました。さらに300億円の借入枠も残っていましたから、4月末時点で自由に使える現金は335億円ほどあった、ということになります。5月末時点でも280億円と、弊社の財政状況は業界内で最も健全だ、といっていいほど余裕がある。よほど強力な新型コロナの第2波、第3波が来なければ、乗り切れる水準と考えています。少なくとも「危機的な状況」とはとても言えません。
――追加の融資枠の設定は。
ここ数ヵ月は緊急資金は必要ないといえばないですが、これはあくまでも短期資金なので、長期的な資金として借り代える分については、銀行側と交渉を進めています。世界的に、他の航空会社は短期的な資金に余裕がないため、急いで枠を確保しようとしましたが、それとは全く異なります。
――経営合理化は考えていませんか?
すでに従業員に何度か説明会を開いていますが、「雇用は確保する。リストラは一切しません」ということを申し上げており、全くその考えはありません。
「小さな航空会社」の強み
――新型コロナ禍の中、なぜ財政の健全性をこれほど維持できたのでしょうか。
まずスカイマークは大手と違って、2500人規模の小さな会社ですから、組織として小回りがきき、一丸となって変化に対応しやすいことがあると思います。JALやANAは連結で3万人以上の従業員を抱え、グループ会社が多く、それぞれ給与体系も異なるなど、グループ全体が一体になりにくいのかもしれません。コロナ禍だけでなく、さまざまな状況の変化に迅速に対応することが求められる時代、これはひとつの強みだと考えています。