2020.06.25
# フランス

「日本に憧れる」フランス人が増加中…でも、そのウラで起きていること

「アジアの一員」としての日本
大野 舞 プロフィール

日本からの情報量はさらに増え、絵画や文学作品だけではなく、日本発のアニメや漫画、ゲームなどのポップカルチャーも広く子供たちの世界に広がっていった。バブル崩壊直後はまだ日本へ行くにはお金がかかるというイメージがあったが、その後、金銭的にも比較的アクセスしやすい国になったのだろう。

こうして2000年代に入ってその憧れは「大衆化」したとも言えるのはないだろうか。そんな私も2014年から4年間ほど、日本の漫画の翻訳出版を専門とするパリの出版社に勤めていたのだが、その時にもこの日本ブームが年々盛り上がっていく様子には驚いたものだった。

大衆化した日本ブーム。これはもちろん、日本に関する認知度がとても高まったことを指し、日本のファンでなくても、大抵の人は日本がどこにある国なのかを理解し、ヤクザやゲイシャ以上の知識は持っているということだ。

しかしそれと同時に、誰もが日本について正しく、そして詳しい理解をしているわけではない。日本への憧れが強く、日本からの情報も溢れているフランスだが、結局多くの場合はざっくりしたイメージなんだな、というのがここ数年、フランスに暮らしながら気づいたことでもある。

 

「広く言えばアジア」という感覚

パリを歩いていて「ニーハオ」と声をかけられるのには慣れてしまった。何度か、それは中国語、私は日本から来たのだ、と言ってみたがそれに対して相手の反応が薄かったことから、これは中国人と思われているというよりもむしろ「アジア人」と認識されているのだなと思うようになった。

夫の家族に「この前タイに行ってきたの。アジアの人はみんな親切ね」と言われたことがある。もちろん、私が「日本人」であることはみんなしっかりと認識しているのだが、その上で「アジア人として」の反応を求められたわけだ。

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