子供たちを預けていたシッターさんには3年間お世話になったのだが、その間ずっと私を中国系として認識していた。時々話の中で私は日本人なんだ、という話をしてみても、その時は「そうだったわ!」なんていうけれど、しばらくしたら忘れてしまっていた。彼女の中で中国系=アジア人だからだ。そこに悪気は一切なかった。
パリには和食ブームに乗っかってエセ和食店も増えた。メニューには寿司、焼き鳥が並ぶ。そんなお店で、中国語なまりの強くフランス語が覚束ない店員に一生懸命サーモンの巻き寿司を注文してみるとなんとも不思議な感覚になる。また、ベトナムの円錐形の麦わら帽子「ノンラー」を被ったキャラクターがシンボルの"restaurant japonais (和食)"店もある。

日本が大好きという人たちでも、日本人からしてみたらちょっとおかしな理解をしていることがある。つい先日、長年日本へ行くことを夢見る若い夫婦に、「日本食も日本文化も全て憧れ。特に和食のあのフライド・オニオンが大好物」と言われて首を傾げてしまったことがあった。
実は中国系の人たちが運営している寿司チェーン店には、海苔を巻く代わりに、細かく刻んでフライしたオニオンチップのようなものを寿司飯の周りつけたメニューがあるのだ。気をつけて見ていると、どのお店にもこのメニューがあることに気がついた。そして多くのフランス人にとってはこれらも「日本」の料理を出すレストランに間違いないのだ。
また、あるとき、友人が「最近、日本のドラマを観ていて、とっても面白い」というので何かと詳しく聞いてみると、実は韓国ドラマだったということも。