散歩で養える「共同注視力」の重要性
発達障害を抱える子どもの保護者は、子どもが周囲からどう見られるだろうと他人の目が気になり、家にこもりがちになることがあります。でも、めげて引きこもってしまっては何も変わりません。
子どもを外に連れ出すことは、さまざまな経験を通して言葉をかけたり、体を動かして脳の発達を促すチャンス。家の近くを一緒に散歩するだけでも、言葉かけのきっかけとなる多くの刺激を受けることができます。
ただし散歩をいやがる子どももいるので、その場合は無理をせず、小刻みな目標を設定しそれを積み重ねるスモールステップで取り組んでみてください。
まず、近くにある電信柱など目印となる目標を決め、「あそこの電信柱まで歩こう」と声をかけ、歩けたらほめ、次の目標を伝えます。これを繰り返していけば、しだいに長い距離を歩けるようになります。
散歩は、言葉を伸ばす以前に、人が指さしたものを見る力=共同注視力を養うことができます。共同注視力が高まれば、自分の考えを人に言葉で伝え、共感したいという気持ちも育ってきます。
たとえば散歩の途中でアリが道路を這っているのを見かけたら、「あっ!」と少し大げさなくらい大きい声を出し、子どもの注意を引きつけながらアリを指さして近づきます。
子どもが指さしてアリに目を向けたところで「アリ」と言い、子どもにも「アリ」とオウム返しに言わせます。
指をさすのが難しい子どもには、親が背後から手を添えて手助けし、指さしをさせます。そのあとすぐ「アリいたね~」と声をかけながら、子どもの顔をのぞき込みましょう。
このように散歩の途中で目についたいろいろなものを指さし、一連のやりとりを繰り返してください。そのうち、無理に注意を向けさせなくても親が指さすほうを見てくれるようになるでしょう。

共同注視力が高まってきたら、歩きながら楽しく五感を刺激する言葉をかけましょう。