女性は、全てが終わると、「まだ私でも大丈夫なんだと思いました」とすっきりとした笑顔でつぶやいたという。ずっと心の中に封じ込めてきた性的な欲望を実現させたことで、自分の心と体とまっすぐに向き合うことができ、自分を縛っていた枷がようやく外れたような感覚だったのかもしれない。

「悲しみを癒す」役割もある
「寂しいから呼んじゃった」「寂しいから一緒にいて」「寂しいから今すぐ来てほしい」
「寂しい」という言葉は、女性用風俗利用者の根源的な感情ともいえるかもしれない。それほど女性たちは、セラピストにこの言葉をよく漏らす。
別の60代女性は、母親が亡くなった喪失感から、セラピストを連日呼ぶようになった。
「そのお客様は、母親と死別して、ひとり身になったので寂しいんだと言っていました。年齢的にもセラピストのことが、子供みたいな感覚なんだと思います。そういうお客様は、施術より、心のケアをメインに行います。一緒にテレビを見たりして、穏やかな時間を過ごすんです。
心のケアを求められることは、女風ではけっこう多いんですよ。この仕事は、一種の社会貢献なのではないかと思うことも度々あります」