本を読みだすにはきっかけが必要
「怪奇漢方桃印」シリーズでは、桃さんのバディとして、十二支たちが活躍する。特にメインで活躍するアオジは辰年の神・龍である。今ちょうど辰年のこどもは7歳~8歳。本を自分ひとりで読みだす年齢だ。
自分の干支が活躍するのを見ることは、子供にとってどれほど興奮することか!
そのうえ、桃さんは自分の町にやってくるかもしれないのだ。

日本のどこかと、緻密に描かれる桃源郷という壮大なファンタジー、二つの舞台を物語はいきかいながら、同時にまったく不自然でないのは、まさに廣嶋玲子マジックというしかない。
本を読みだすにはきっかけが必要だ。そのきっかけは「自分の干支が活躍している」「自分の町が舞台」そんな簡単なことでいい。ただそのきっかけを生かして、子供を本好きにするには「とてつもなく面白い物語」を作れる作家がどうしても必要なのだ。
廣嶋作品の特徴は、「こどもの本総選挙」第4位に駆け上がっている面白さだけではない。一度廣嶋作品を買うと、他の廣嶋作品も購入する読者率が非常に高いのが特徴だと書店さんは語る。また親子で読む読者も、非常に多いそうだ。
廣嶋作品には、人を本好きにする力がある。