同調させたがる日本人の性向
早川:今回は若い女性から相談がきています。23歳の方からです。私は「集団が怖い」です。学生時代は怖くても頑張って学校へ行ってもいじめられて、大人になって働いてもセクハラやパワハラに悩まされたり、失敗ばかりして怒られて、部屋に閉じこもるしかなくなります。
病院へ行くと「”アスペルガー症候群”で能力に凸凹があるから、得意なことを伸ばしてね」と言われました。でも、ほとんどできることなんてないです。図書館で石田衣良さんの『再生』という本を読んだ時に泣いてしまいました。考えてもできないことはできないのですが、これからが不安で悩んでいます。

石田:大変ですね。正直言って、僕も集団行動があまり好きじゃないです。よくCMなんかで、全員が一糸乱れぬダンスをしたり行進をするっていうのが、日本では多いじゃないですか。ああいうCMは海外ではほぼ見ないんですが、日本人は何かを同調させて、みんなで動くのが大好きなんですよね。ちょっと気持ち悪いですが…。
昨年、改元で「令和」になりましたけど、「令和」の令はやっぱり「命令」の令だと思うんです。誰かに命令して、言うこときかせるということ。「ビューティフルハーモニー」とか、「麗しいハーモニー」だとか、「調和」だとか、そういう話にもなりましたけど。その「令」が麗しいとか綺麗ということは、誰かが命令した時に全員で規律を取って、パっと動くことが麗しいということ。言ってしまえば、北朝鮮の軍事パレードみたいに揃っていることが綺麗だって意味なんです。
早川:それは嫌だなあ。
石田:猛烈に嫌でしょ。日本人にはそういう性向があるんですが、相談者の場合はそれが全然合わないわけじゃないですか。それにこの世界にはアスペルガーとか関係なく、2~3割くらいの人は対人関係に何らかの問題を抱えています。でもね、対人関係のない仕事っていっぱいあるんですよ。
早川:あるんですか?