2020.07.08
# 不動産

マンション販売は壊滅状態…なのに「価格が全然下がらない」驚きのワケ

コロナ危機は不動産にこう影響する
加谷 珪一 プロフィール

テレワークの大きな影響

ここまで筆者は基本的にマンション価格は下がらないという話をしてきたが、場合によっては価格が下がる可能性も見えてきている。カギを握っているのは企業のテレワーク動向である。

政府による外出自粛要請をきっかけに多くの企業がテレワークに移行した。カルビーのように、在宅勤務を標準形にして、どうしても必要な時以外にはオフィスには出社しない制度に切り換えるところも出てきている。富士通も3年をメドにオフィス・スペースを現在の5割程度に減らす方針だという。

〔PHOTO〕iStock
 

コロナ後もテレワークを続ける企業が増えれば、当然、都市部のオフィス需要は減少する。規模の大きいオフィスビルには、周囲のビルからテナントを奪えるので、引き続き満室となるだろうが、問題となるのは競争力の低い小規模なオフィスビルである。

こうしたオフィスビルは個人所有というケースも多く、大胆な賃料引き下げや大規模改修の費用を捻出できない。オフィスに対する需要が今後も継続的に減少するのであれば、弱小ビルが廃業した跡地には高い確率でマンションが建設されることになる。

このところテレワークが普及したことで、安くて広い郊外の住宅に転居を検討する人が増えているという。だがテレワークが普及してオフィス需要がなくなるということは、都心部でも割安で広い物件が手に入ることを意味している。

テナントの玉突き移動にはかなりの時間がかかるので、ここ1~2年では大きな動きにはなりにくいだろう。だが、コロナ危機をきっかけに日本の企業社会が本格的にテレワークに移行すれば、都心部のマンション価格にはゆっくりと下落圧力がかかることになる。

先ほども説明したようにコストの上昇から値下げ余地は限られるが、少なくとも一方的に価格が上昇するというトレンドは終了する可能性がある。最終的には日本企業の働き方改革次第だろう。

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