スターを目指す若者たちは「韓国」に未来を見る──「NiziU」の快進撃

日本のガールズグループが力を失う中で
松谷 創一郎 プロフィール

出来レースではなかった

このマコ・ミイヒ・リマの3人は、そもそもJYPの練習生だった。マコは2年7ヵ月、ミイヒとリマは7ヵ月間の練習を経て今回のオーディションに参加した。加えて、過去に他のプロダクションの練習だった存在もいる。それがマヤだ。彼女は、BIGBANGや2NE1、BLACKPINKを生んだYGエンターテインメントジャパンの練習生だった。この4人は、当初からデビューは確実な実力の持ち主だった。すでに歌唱とダンスの基礎がしっかりとできていた。

それは、この番組自体がデビュー前のグループのショーケースであることも意味するが、決して出来レースなわけでもない。最終オーディションには、もうひとりJYPの練習生・ユナも参加していた。日韓ハーフの彼女は韓国語も堪能で、基礎力はたしかなものだった。しかし、ステージではいまいち実力を発揮できず、最後の最後で脱落した。

ただし、ユナは今後おそらく別のオーディション番組で勝ち上がってデビューする可能性もある。過去に『SIXTEEN』で脱落してTWICEのメンバーになれなかったなかには、現在もソロで活躍する元I.O.IのソミやIZ*ONEのチェヨン、ITZYのチェリョンなどがいた。オーディション番組が随時おこなわれているK-POPでは、再チャレンジする機会も多く残されている。

技術に裏打ちされた的確な助言

こうしたメンバー選考の過程で見られたのは、JYPの入念な制作体制だ。それは厳しい選抜過程だけでなく、彼女たちを評価するJ.Y. Parkの言葉により表れていた。NiziU誕生のプロセスとともに注目されたのは、彼のプロデュース姿勢だった。

基本的に温和な性格のJ.Y. Parkは、選考過程で練習生たちに優しくもポイントを押さえた評価をする。ときにはかなり厳しい指摘もするが、それはけっして感情的な(体育会系な)叱咤ではなく、技術に裏打ちされた的確な助言だ。

たとえば最終オーディションにおける個人レベルテストにおいて、ヴォーカルが不安定だったユナに対し、J.Y. Parkは技術的な問題点をこのようにあげる。

「簡単に言うと、呼吸するとき下腹部で息を深く吸い込んだ後、お腹をしっかり使い、喉は完全に力を抜いた状態で、響く声が出ます。いまは響く声がまったく出てきていません」(『Nizi Project』Part 2-2)

J.Y. Parkのコメントで目立ったのは、こうした技術的な指摘だ。褒めるときはニコニコしながら賛辞を送り、それと同時に技術的な助言も的確にする。その音楽と向き合う姿勢──プロデュース能力こそが、実はこの番組の最大の見どころだった。

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