スターを目指す若者たちは「韓国」に未来を見る──「NiziU」の快進撃

日本のガールズグループが力を失う中で
松谷 創一郎 プロフィール

それ以上にK-POP人気でダメージを受けたのは、パフォーマンスに力を入れていたグループだ。具体的にはEXILEの妹分としてLDHが生んだE-girlsと、安室奈美恵やSPEEDを生んだライジングプロダクションによるフェアリーズだ。E-girlsは年内いっぱいで解散することを発表し、フェアリーズもメンバー5人中3人が所属プロダクションから離れたために存続は不透明だ。

ともに2011年にデビューしたこの両グループは、女性層をターゲットとし、「アイドル」にはくくられないスタイルをコンセプトとしていた。とくに重点を置いていたのはダンスだ。実際、彼女たちのパフォーマンスの水準はけっして低くなく、他のアイドルグループとは明確に差異化されていた。

E-girlsはデビュー直後は好調だったが、結局、両グループとも大ヒットにつながることはなかった。状況的には、「戦国時代」とも呼ばれたアイドルブームと、年々人気を増していったK-POPの板挟みとなった。

とくにフェアリーズの失敗は、現在のJ-POPの限界を簡潔に示している。しっかりとトレーニングされていたメンバーたちの能力は日本ではトップの水準にあったものの、プロデュースは迷走に迷走を重ねたからだ。その音楽性は90年代後半のSPEEDからさほど歩を進めておらず、近年はユーロビートのカバーまでしていたほどだ(2018年「HEY HEY ~Light Me Up~」)。

LDHもライジングも、90年代や00年代に一世を風靡したプロダクションだ。しかし、彼らのプロデュース能力は10年代に入ってK-POPの後塵を拝した。これは極めて象徴的な事態だ。

スターを目指すなら「韓国」へ

いま生じているのは、ごくシンプルだ。スターを目指す若者たちは、日本の音楽系プロダクションの制作能力を頼らず、続々と韓国に目を向けている。

TWICEの日本人メンバー3人をはじめ、IZ*ONEメンバーとして活躍しているAKB48グループの3人、そして韓国に渡ってそれぞれデビューした元AKB48の高橋朱里と竹内美宥などがそうだ。彼女たちはより高い水準を目指し、現実的かつ冷静に判断をしたまでだ。

NiziUは、こうした文脈の延長線上に生まれたグループだ。K-POPの伸長とJ-POPの退潮──その距離は、年々開く一方となっている。

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