うまくいくとは思えない
また、大塚家具が改めて力を入れるEC販売においても、家電は扱われています。ですが、ざっと見た限り、わざわざ大塚家具で家電を買うメリットを感じにくいです。例えば有線キーボードのエレコム TK-FCM103BKは、大塚家具のサイトでは1,188円、Amazonでは同じ型番のものが1,080円、ヤマダウェブコムでは1,050円(ポイント10%発生)となっています。
同様にサーキュレーターのヤマゼン YAR-BDA181DCは、大塚家具では12,800円、Amazonでは11,000円。ヤマダウェブコムでは12,980円(ポイントなし)となっています(価格は全て税込、7月5日現在のデータ)。
同じく家具業界で優良企業のニトリでも家電を扱っていますが、一般家電品の市場価格と同等で売られているようです。他社で販売されているものと同じものや類似の商品も多いですが、品番を変えたり、微妙にデザインを変えたり、すぐネットで比較されないように工夫しています。

そのため、ニトリを日常的に利用している人からすると、ニトリの家電は家具や寝具と同じように、安価で「お値段以上」のメリットがある商品であるとの信用があります。ですから、「テーブルやシーツと一緒に家電を買う」ことへの躊躇は少ないのでしょう。
映画館や遊園地のドリンクが量販店で買うよりも割高であるように、一物多価(同一の商品がさまざまな値段で売られていること)は昔からあるものです。そこでドリンクを買うしかないから高い値段でも売れるというだけで、高い顧客満足度が得られるものではありません。
ECなども含めて「最安値」を実現できないのであれば、その店舗で買った方がいいメリットや付加価値を何らかの形で作っていくしかありません。先に述べたように、かつての大塚家具は、顧客に「大塚家具で買う」というプレミアムを与えられていたのだと思います。
ですが、ヤマダの商品と並列する売り場で、ヤマダ目当ての顧客にそれが可能でしょうか。店頭で客が商品を見たとき、スマホでアマゾン価格と比較されるような時点で、「大塚家具で家電を売る」コラボが今後上手くいくとは思えないのです。