2020.07.17
# アパレル

紳士服業界、なぜか「AOKI」と「洋服の青山」の明暗が分かれてきたワケ

実は「価格表示」がキモだった…
小島 健輔 プロフィール

AOKIと「格差」が開いたワケ

AOKIファッション事業の重衣料売上比率41.2%に対して青山商事ビジネスウエア事業の重衣料売上比率は51.6%とひと回り高く、同じくスーツ売上比率もAOKIの26.5%に対して28.7%(19年は27.8%に対し30.6%だった)とやや高いにしても、これほどの格差になるはずはない。

スーツの販売単価もAOKIの2万5000円(前期は2万5500円)に対して青山商事は2万7088円(前期は2万7181円)と8%ほど高いだけだ。

この8%の単価差が手頃なアクティブスーツ比率の違いによるものだとしたら一つの要因となるが、それ以上に格差を広げたと思われるのが、青山商事が昨年10月の消費税増税と同時に芝居がかった演出で導入した新価格表示だ。

AOKIと青山の「差」とは…
 

紳士服専門店業界では二着セールや閉店セールなどセールイベントが年中行事で、「正価」など在って無きがごとき状態が続いていたが、青山商事は元から低価格にした「正価」に切り替えて正常化しようとした。特売訴求のHigh&Low型から常時低価格のEDLP型に切り替えようとしたわけだが、これが顧客の購買慣習とすれ違い、売上を落とす結果となった。

AOKIファッション事業と青山商事ビジネスウエア事業の既存店売上前年比の推移を比較すると、19年上期(4〜9月)は3.2ポイント差だったのが、下期(10〜2月)は10.3ポイントに開いている。その中身を見ると、客数はAOKIが14.1%減、青山が14.2%減と差がなかったのに、客単価はAOKIの1.5%減に対して青山は12.5%も減少し、結果として売上はAOKIの15.4%減に対して青山は24.9%減と10.3ポイントも開いてしまった。「正価」での一着販売より「二着セール」の方が客単価が高かったのだ。

その差はコロナに直撃された4〜6月で一段と広がり、AOKIが客数4.6%減、客単価17.1%減で売上が20.9%減だったのに対し、青山は客数35.1%減、客単価29.0%減で売上は53.9%も減ってしまった。客単価ももちろんだが、慣れない「正価販売」に戸惑った顧客が離反したという指摘は免れないだろう。

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