3歳女児放置死の悲劇…「自己責任化」された親たちが直面するもの

「親であること」を支えるフランスの福祉
安發 明子 プロフィール

子どもを殺してしまう母親の事情

ここでは、フランスの取り組みからヒントを探ってみたい。

フランスの妊産婦幼児保護センターで母親たちを支援する心理士は言う。「子どもを殺してしまう母は、その女性が受けるべきケアを受けてこられなかったということなのではないでしょうか」。

体系的なチェックとリスク管理だけでなく、公的資金で賄われて無料で利用できる実に様々なサポートがセーフティネットどころか「ミルフィーユ状」に存在している。

体系的なチェックとは、妊娠中のソーシャルワーカーとの面談を義務化し家庭環境を把握したり、妊娠時から検診内容を妊産婦幼児保護センターが全件チェック、気になった妊婦には助産師を在宅訪問するなど手厚くフォロー、産後も8日、9ヵ月、24ヵ月健診と全件チェックを続け、3歳から義務教育で全員の状況が把握できるようにしている。

子どもの安全を守るために各県の子どもリスク情報統合局が全ての情報を受け取り、調査する。

「子どもの健康、安全、精神面が危険やリスクにさらされていたり、子どもの教育的・身体的・情緒的・知的・社会的発達状況が危険やリスクにさらされている場合」に子どもを守るのだ。虐待より幅広い定義であり、予防的な段階からの情報収集と支援を可能にしている。

 

パリ市リスク情報統括調査局の責任者は「状況を確認し、親の支援になる方法を提案し、親の力になれるようにすることで子どもの環境を整えることが役割」であると言う。

さらに、彼らは実際どのように支援を行なっているか定期的に学校や医療機関など子どもにかかわる機関に説明し積極的にメディアにも出ることで、「子どもが取り上げられる」といったイメージではなく、実際にどのような支援がおこなわれるのか知ってもらおうと取り組んでいる。

「親が良くない、良い対応ができなかったと考えるのではなく、親自身が困難を抱えていてそういう状況になってしまっている、他の方法をとることができなかった。親をいかにサポートするかという視点が世の中の共通認識になることを目指している」(同責任者)

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