3歳女児放置死の悲劇…「自己責任化」された親たちが直面するもの

「親であること」を支えるフランスの福祉
安發 明子 プロフィール

暴力がある場合「保護」として施設や里親宅への措置と親への支援をおこなうが、暴力はないがリスク要素があると判断された家庭には在宅教育支援が提案される。

児童相談所がフォローする子どもの半数は「予防」として自宅にいながら支援を受けている。予防をしっかりすることで将来は保護が必要なくなり、短期在宅支援のみのスタイルが福祉の未来であるとされている。

在宅教育支援とは?

在宅教育支援は児童相談所からの委託で民間団体が実施する。

筆者はパリの北にあるセーヌ・サン・ドニ県にて1ヵ月間在宅教育支援の現場に立ち会ったことがある。在宅教育支援の中でも手厚い支援を必要とする子どもたちをケアしていた。

「専門的エデュケーター」(*1)という資格を持った職員が中心となり1日1時間、週5時間子どもと過ごす。1人あたり担当するのは子ども6人。そして、心理士と、「社会家族テクニシャン」という予防、教育、自立支援を目的とした国家資格で親と一緒に家事育児をおこない日常生活を支える職員も一緒に家族をサポートする。

例えばある家庭は1人の子どもの不登校がきっかけで支援につながった。母子家庭で4人の子どもの年齢が乳児から中学生とバラバラなので朝母親が全員の登校準備をしきれていない、疲れて怒りっぽくなるときがあるということが支援のポイントとされていた。

そこで社会家族テクニシャンは母親が大変な時間帯だという朝7時半から9時まで毎日この家庭で過ごし、母親と一緒に子どもたちを起こし、朝食の準備をして食べさせ全員を学校に連れて行く。

子どもの生活リズムを整えるのが一番の役割で、さらに子どもがだだをこねるなど母親がイライラする出来事があると解決法を提案し母子がより気持ち良く一緒に過ごせるようにする。

専門的エデュケーターは毎日夕方17時から1時間家族と過ごし子どもたちの宿題をみたり全員の翌日の学校の準備をしたり母親の行政手続きを手伝ったりする。週1回はその訪問に心理士も同行する。24時間体制で携帯電話に連絡があったときはかけつけ、親の怒りが爆発する前に仲裁したり子どもを施設に一時的に泊めたりする。

さらに、この母親は団体が企画する活動の中で好きなものに参加するよう勧められていた。プロにヘアメイクやマッサージをしてもらって自分自身のケアをする時間をとったり、演劇を習ったりする中で活動を実施している在宅教育支援とは違う専門的エデュケーターとも信頼関係を築く。

孤立した状態から世界を広げ、利用できるサービスにつなぎ、健康、文化、レジャー、生涯教育を積極的に受けられるように支え、自分1人でそれらを実現していけるようにする。

 

専門家がないものをうめるのではなく、本人の持っているものを強化し、可能性を伸ばし、自身を満たし自分で力をつけていけるようにする。支援ではなく「親と一緒に探していく」という言葉を使う。

専門家を自分に有益な人だと認識してもらい、その中に話しやすい人ができ、親や子どもの方から悩んでいること、改善したいことについて相談してもらえるようにすることが第一段階と言う。

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