もう合コンはオワコン!?この数年で東京の婚活市場は激変した。

――東京に帰ってきたんだな。

2019年12月某日。3年間のニューヨーク駐在から戻ったばかりの工藤直彦は、眼下に大パノラマで広がる煌びやかな夜景に目を細めた。

虎ノ門にある外資系ホテルのバンケットルームは、壁一面の大きな窓から都心とベイエリアが一望できる。

高層階から俯瞰で眺めるその景色は、直彦の目に以前と何ら変わっていないように見えた。

しかし実際は…直彦の知らぬ間に、東京婚活市場には大きな変化が起きていたのだ。


「わかったぞ。マツがあの綺麗な奥さんとどこで出会ったか」

しばし感慨に耽っていた直彦の肩を背後から掴んだのは、同じ総合商社に勤める小野寺淳也だ。

-AD-

今宵は同期の“マツ”こと松尾の結婚式に招かれているのだが、つい先ほど挙式に参列した際、純白のドレスに身を包んだ新婦の美貌に二人揃って度肝を抜かれた。

松尾は野獣のごとき巨体に岩石のように四角い頭を持つ男だ。実は見た目に似合わず理系院卒のエリートで社内での評価も高いのだが、過去の合コンでモテていた試しはない。

それなのに松尾の後に続き現れた新婦は、色白で華奢で…思わず息を飲むほどの美女だったのだ。松尾と並んで歩く姿は、リアルに美女と野獣。

同期一のモテ男を自負する淳也はよほど悔しかったのか「一体、いつの間にどこで」と終始ブツクサ言っており、式が終わるや否やヒアリングに走った。そして早くも真相を突き止めたらしい。

「どこで出会ったんだ?」と急かす直彦に、淳也はもったいぶるように一呼吸置く。そしてゆっくりと口を開いた。

「…なんと、マッチングアプリらしい」