2020.07.21

望月衣塑子、怒る…官邸にしっぽを振る「矜持なき記者たち」のダメっぷり

官邸の会見は、ほとんど「宣伝」だ
望月 衣塑子 プロフィール

しっぽを振る記者たち

なぜ、内閣記者会は国民と乖離した質疑しかできなくなったのだろう。かつて首相会見の司会進行役は、幹事社の記者が努めていたという。現在は、実質的な司会進行を内閣府広報官の長谷川栄一首相補佐官に委ねており、「内閣記者会主催」はかたちばかりだ。結果、会見を官邸の“宣伝(プロパガンダ)”に利用されている。

さらに長谷川氏の指名を見ていると、NHKやテレビ朝日、日経新聞などが毎度のように指される一方で、朝日新聞や東京新聞、中国新聞などが指されることはまれだ(これらの社が幹事社の場合は除く)。

長谷川氏が政治部の記者を指名すると、首相は毎度、官僚が用意した手元の資料を読みながら答えている。差し障りのない質問を事前に官邸に通告した社ばかり指名されるのであれば、それは権力による選別と事前校閲であり、メディアが官邸に支配されているということに他ならない。

SNSが発達し、首相のプロンプターや資料の読み上げがバレ、国内外の市民やネットメディア、フリーランス、識者から疑問や改善を促されている。にもかかわらず内閣記者会は、事前通告を続け、首相の「猿芝居」の片棒を担ぎ、意識が変わる気配はなかなか見えない。

会見ではプロンプターが多用される〔PHOTO〕Gettyimages
 

今年一月、官房長官会見で、私が挙手しても当てられないことが続いた。私が会見場で「まだ(質問が)あります」と声を出したとき、ある社の記者は「指されなくても、声は出さずおとなしくして」と言ってきた。別の社の官邸キャップは「うまく聞かないと引き出せない。(あなたのは)“負け犬の遠吠え”だ」とわざわざ言いにきた。

政治取材に長けたみなさんは、この首相会見でいったい、何をうまく引き出したのだろうか。しっぽをふっているのに餌がもらえなかった犬に見えるが、あとで「路地裏」で残飯でももらえれば「勝ち犬」なのだろう。

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