人生が変わるくらいの出来事
御坊:女性が利用できる風俗店があること自体、まだあまり知られていないですから。
天野:「ないこと」にされてきましたよね。
御坊:男性がサービスする女性向け風俗店もありますが、知ってしまえば「女性同士のほうが安心、怖くない」と思われる方が多いんですけどね。

天野:だからこそ、風俗店を利用したことのある女性と、ない女性とは、何かが違ってくる気がするんです。『さびしすぎてレズ風俗~』の作者・永田カビさんももそうでしたし……。
御坊:「倫」もそうですよね。
天野:はい、それを転機として人生が変わっちゃうぐらいの出来事。レズ風俗にはそういう側面があるのではないかと思っています。
「倫」は偶然からレズ風俗キャスト・諒と出会い、ベッドをともにし、それをきっかけとして大きな決断をする。ひとときのこととはいえ、諒から自分を大事に扱ってもらえたことで、これまで蓋をしてきた自分の本音を大事にできた。そして舞台は、「女性専用レズ風俗店 ゆりとぴあ」へと移っていく。
天野:男性向けの風俗は昔からありますが、やはり肉体的な欲望を満たすことを第一の目的とした世界に見えます。単純に比較できるものではないのでしょうが、女性向け風俗では"会話"が重視されているように見えました。
御坊:だから、ホテルで過ごす前にデートを楽しむ"デートコース"が重要なんだと思います。男性向けの風俗ではあまり聞いたことがありませんが、うちに限らずレズ風俗店にはだいたいありますね。うちでは多くのお客様が、ふたりでホテルで過ごす"ビアンコース"の前にデートを楽しまれます。
『愛されてもいいんだよ』では、映画を観たりお茶をしたり、一緒にショッピングを楽しんだりしていましたね。女性はよく友だち同士でお出かけしますが、それと違ってデートらしいドキドキ感をどう感じてもらえるか……キャストの腕の見せどころですね。