最初から金持ちの人はいない

貯める決心から5年後、金融資産総額が1千万円を超えたときは、ひとつの壁を乗り越えた気がして嬉しかった。投信の運用利益のおかげで、実際には自分で1千万円を貯めなくても、1千万円に到達し、まさにお金が働いてくれるということを体験した。亡き父親の遺産が入り、それも迷わず長期投資に組み入れて、雪だるまの芯をどんどん大きくしていく。父親の会社を解散したあとは法律事務所に勤めて、積立を継続した。

最初からお金持ちの人はほとんどいない。雪だるまの芯を作るまではすごく大変だし、その忍耐は生きていく上でも大事。めげない心を培わないと。そして投資先選びも重要です。ずっと一緒にやっていける長期投資のファンドを見つけること。もちろん本を読むことも大事だけど、私は自分で選んだ直販投信の社長に直接、会いに行きました。ファイナンシャル・インディペンデンスに到達するのは大きな目標ですが、貯めた先の社会貢献まで考えている社長はその人だけだった。そうやってちゃんとした口座をひとつ作れば、もうファイナンシャル・インディペンデンスを達成したようなものなんです」

 

2000万、3000万と資産が増え、雪だるまがどんどん大きくなると、株価暴落時の影響は、ちょっとしたものになる。これまで何度か暴落を経験している美香さんは、マイナス数百万円という数字も経験済みだ。

「今回のコロナでも一時期大きく下がったけど、すぐに戻りました。基準価格がドーンと落ちても、時間が経てば戻ってくるという経験を何度もしているから、もう慣れていますね。ただ時々、『こんなにマイナスになったのよ!』と娘に愚痴ったりするんですけど、『ママ、どうせ売る気もないくせに』と言って笑っているんです。たまにそういうことで騒いで、ジェットコースターに乗っている気分を楽しんでいるんです(笑)」

投資信託の規準価格が落ちて損がでたとしても、それは数字だけのこと。実際に換金しなければ関係ないのだから、確かに慌てて騒ぎたてることもない。

今年、母親が亡くなった年と同年の64歳になった美香さん。母や彼が年金をもらわずして亡くなったこともあり、年金は60歳から前倒しで受け取っている。3割カットになるが迷わず決めた。今もパートで事務の仕事をしているから、月々の生活はほとんど困らない。年に一、二度、海外旅行に行くときには必要に応じて投信を解約するが、あまり総額が減ることがない。将来、働けなくなった時のことを考えても、ファイナンシャル・インディペンデンスに到達したと考えてよいだろう。

女性の経済的自立は重要だが、実現に至るにはいくつもの山がある。
「私は自分のお金に対する意識が変わり、真剣に取り組み、本物の直販投信と出会えて、長期投資を続けました。そのおかげで老後の心配はありません。お金の面で、女性が一人で生きていくのは大変なんです。女性の方が寿命が長いし、独身、離婚、死別といろいろあるけれど、60歳を過ぎたら、けっこう多くの人がおひとりさまになっている。これは先の話ではなく、すぐにやってきますよ」

おそらく、多くの女性たちはこういう未来を頭のどこかで予想しているけれど、行動に移している人は少数派だろう。雪だるまの芯を作るには時間がかかるからこそ、なるべく早く「貯める決心」をし、自立を目指して、新しい意識でお金との付き合いを始めたほうがいいに違いない。

だれでもいつかはひとりになる。すべての人が誰かに頼るのではなく、自分の足で歩くことができること、それが大切だ Photo by iStock