「スマホ・ゲームは目に悪い」説、意外に「そうでもない」ことが判明

「やりすぎは近視のもと」は本当なのか?
井出 草平 プロフィール

さきほどのインドの研究では、対象となった学生たちはタブレットなどを宿題の補助に使うだけではなく、3分の1は従来の紙の教科書の代わりに使い、読書もデジタルデバイスを使用していた。

近年はタブレットで教科書を表示するのみならず、タブレットを使った通信添削サービスなども広く使われており、学習ツールにデジタルデバイスが組み込まれている。新型コロナウィルス流行の影響でオンライン授業が推進される中、全国の学校でタブレットやパソコンを早期に導入する動きも出てきている。今後の学習スタイルを考えるのであれば、目に負担をかけない利用方法でデジタルデバイスと付き合っていく方法を模索していく必要があるだろう。

 

「ゲーム・スマホ敵視」に根拠はあるか

デジタルデバイスを使用することによる眼精疲労は、デジタル眼精疲労もしくはコンピュータ・ビジョン症候群と呼ばれている。

アメリカの眼科学会である米国オプトメトリック協会は「20-20-20ルール」を推奨している。20-20-20ルールとは、20分ごとに20秒の休憩をとり、20フィート(約6メートル)先のものを見るように心がけるというものだ。

6メートル先というのは日本の家庭では難しいかもしれないが、20分ごとに20秒の休憩はできるだろうし、できるだけ近くのものを見ない、遠くのものを見る時間を作るといったことであれば、ある程度できるだろう。

近代社会では子どもは6歳くらいから学校に通い、毎日数時間の勉強という近業をしなければならない。日本では先にみたように学力は世界のトップレベルだが、世界のトップレベルの国々はいずれも子どもの近視で悩んでいる。

香川県の条例のように、近視の原因をゲームに押しつけられればよいのだが、近視の原因はゲームだとはいえないし、そもそも「学校に通い勉強すること」そのものが近視の大きなリスクである。そして研究で判明しているのは、テレビやゲームといった新しいテクノロジーに高いリスクがあるわけではなく、紙の本であったり、鉛筆やペンでの勉強という慣れ親しんだ方法にこそリスクがあるというものだった。

本気で近視の予防を考えるのであれば、ゲームやスマホといった新しいテクノロジーを犯人に仕立てるのを改め、紙での勉強や読書にリスクがあることをもっと認識すべきだろう。その上で、20-20-20ルールを守る、ベッドに寝転がって使わないようにする、読み書きの距離はできる限り話す、鉛筆は筆先近くをも持たない、正しい姿勢が取れる椅子と机を用意する、目線と同じところにモニタや機器を置くといった習慣や環境を調整していく必要があるだろう。

香川県の条例のように「スマホやゲームを規制すれば問題は解決する」という思い込みを規制の形で実行すれば、何かをやった気にはなれるだろう。しかし、真に子どもの健康を守ることにはつながらない。それよりも、スマホやゲーム、そして勉強、読書、テレビなどの近業における適切な使い方を啓蒙することの方が、子どもの健康を守る上では有益であろう。

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