しつこいくらいが丁度いい?女性の機嫌を直す方法
――俺が謝るべきなのか?
釈然としない直彦だったが、電話を切ったあとしばし考えて、淳也の言うことも一理あるかもしれないと思い直した。
別れてからもう5年以上が経つというのに、そして薫はすでに他の男と結婚して子どももいるというのに、いつまでも自分だけが囚われて情けないのも事実だ。
早く薫を超える素敵な女性と出会い、次の駐在が決まるまでには結婚したい。そのためにマッチングアプリにも登録したのだ。
――もう一度チャンスをもらえよ。タイプだったんだろ?――
淳也に言われたセリフを思い出し、直彦はひとり心の中で頷く。
確かに、留美は直彦のタイプだった。
『留美さん、今日は本当にすみませんでした。余計なことを話してしまい反省しています。僕としてはもう一度お会いしたいと思っておりまして…チャンスをもらえないでしょうか?』
その日の深夜、直彦はベッドの中でまたしてもRumi32歳のメッセージ画面と睨めっこしていた。
淳也と電話で話したあと改心した直彦は一生懸命に謝罪文を作り、祈るような思いで送信ボタンを押した。しかし現在、夜中の2時を過ぎても返事がないのだ。
しつこいと思われそうで躊躇われるが、やはりもう一度ダメ押しでメッセージをしてみようか。
鬱陶しがられる可能性が高い。だがもしかすると熱意と受け取ってもらえるかも。どちらに転ぶかわからないならばやってみる価値はあるだろう。
深夜のテンションでそう結論づけると、直彦は再びメッセージを作った。
『留美さん、何度もすみません。やはりもう一度会ってお話がしたくて…時間も場所も留美さんに合わせますので。お返事待ってます』
「よし、いけ」と声に出して送信ボタンを押す。
するとその直後、思いがけず新着メッセージの通知が光った。
留美から返事がきたのかと思い急いで通知をタップする。しかしそこに表示された名前を見て、直彦は思わず息を飲んだ。
――嘘だろ…?この子ってまさか…。