やみくもにPCR検査を広げるべきでない…これがその「基本計算」だ

「陽性」でも本当の感染確率は3%!
大原 浩 プロフィール

感度99%検査で「陽性」で感染している確率は3.2%

たぶん、ほとんどの読者にとって信じがたいことだと思うので、これから検証していく。

まず、前提となる条件だが。

1.感染率0.1%
=人口10万人当たり100人が新型肺炎に感染。1億人に対して10万人の感染者ということだが、現在報告されている日本の感染者数と比べて妥当な推計だと考えられる

2.感度99%
=感染者100人に対して、99人を正しく陽性と判断(真陽性)。誤って陰性と判断される1人は偽陰性となる。例えば100人の感染者が保健所に行けば、99人が正しく陽性と判定され1人だけが誤って陰性と判断されるから精度が高いように見える。

3.特異度97%
=感染していない100人のうち97人を正しく陰性と判断。3人は誤って陽性と判断される(疑陽性)、検査の正確性にあまり影響が無いように見えるのだが、これから述べるように、この部分こそが検査の正確性を決定づける重要ポイントである。

さて、このデータに基づき「ベイズの定理」を使って、「本当の感染確率」を求めてみる。

まず、検査を受けたのが10万人とする。

2の感度が99%なので、「本当の感染者100人」のうち99人は、正しく陽性と判断される。この部分だけを考えると信頼度が高いように思える。

しかし、問題は非感染者だ。1の感染率0.1%から考えれば、非感染者は99.9%もいる。そして10万人のうち9万9900人が非感染者だ。この非感染者の多さが「ベイズの定理」を理解するポイントだ。

例えば、メディアが声高に主張している「PCR検査の拡大」を推進し、検査の対象を症状がある人または感染者と濃厚接触した人間に限定せず、無差別に検査をすれば、非感染者も増えて検査の精度が落ちるのだ。

この非感染者9万9900人に3の特異度97%を適用すると、感染していないのに陽性となる「疑陽性者」の数は、なんと2997人にもなる!

結局、この検査で陽性と判断されるのは、本当の感染者99人+疑陽性者2997人=3096人となる。この全体の陽性者のうち本当の感染者は99人だから、99÷3096=3.2%となる。

 

つまり、無差別にPCR検査を行った場合、陽性者のうち本当の感染者は3.2%で、残りの「96.8%は非感染者」という信じがたい結果になるのだ。

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