やみくもにPCR検査を広げるべきでない…これがその「基本計算」だ

「陽性」でも本当の感染確率は3%!
大原 浩 プロフィール

やみくもにPCR検査すべきでないのには理由がある

PCR検査以外にも、がん検診を始めとする各種の医療検査についてほぼ同じ(総人口に対して病気ではない人の比率が圧倒的に高い病気の場合)ことが言える。

例えばがん検診で「がんの疑いがある」と言われて、再検査で陰性であった経験のある方は多くないだろうか? それも当然で、無差別な1回目の検査で陽性の場合に本当に病気である確率はごくわずかなのだ……

しかし、検査がまったく意味がないのかというとそうではない。

前述の1回目のPCR検査で、陽性と判定された3096人のうち、実際に感染している人間は約99人しかいなかったが、この人々が再検査を受けるとそのうち98人が陽性判定(2の感度を適用)となる。

それに対して、感染していないのに陽性と判定(疑陽性)された人は2997人もいたが、これらの人々が再検査を受けると陽性判定は(100%―97%=3%の)約90人(3の特異度を適用)となる。

すると、再検査で陽性と判定される人は、真陽性98人+疑陽性90人=188人となる。

したがって、再検査で陽性と判定された人のうち、本当の感染者は

98÷188=約52%

となる。「条件を追加」して、検査対象から非感染者を減らせば精度が劇的に向上するのだ。

多くの日本の医師が、「症状のある者、濃厚接触者」に限定してPCR検査を行うことを主張するのも、「非感染者がPCR検査を受けて全体の精度が低下」するのを危惧するからである。

 

彼ら医師たちが、ベイズの定理を理解しているかどうか定かではないが、「やみくもに検査を行うことが検査の精度を下げる」ということを経験的に理解しているのだと思う。

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