2020.08.21
# 海 # 気象

国産ものが消滅する!? ホタテガイの生存を脅かす一大危機の正体

「冷たい海」への適応進化が裏目に出る
山本 智之 プロフィール

じつは機敏に動けます

ホタテガイは、アサリ類やカキ類とならんで、私たちの食卓に最も身近な二枚貝の1つでもある。「ベビーホタテ」とよばれる稚貝のボイルや、冷凍品の貝柱なども含めれば、スーパーの店頭で見かけない日はないほどだ。

新鮮な貝柱の刺し身には独特の甘みがあり、寿司ダネとしての人気も高い。殻ごと炭火にかけるバター焼きも格別だ。

ホタテガイの刺し身(写真左)とにぎり寿司(山本智之撮影)
ホタテガイのバター焼き(札幌市、山本智之撮影)

ホタテガイは「イタヤガイ科」の二枚貝で、満潮線と干潮線のあいだのエリアである「潮間帯」の下から、水深約80メートルの砂地の海底に生息する。おもなエサは、海中の植物プランクトンや有機物だ。

海底での動きは意外に敏捷で、天敵のヒトデに襲われると海水を勢いよく噴射して、飛ぶように泳ぎ去る。ホタテガイの「外套膜(がいとうまく)」には、明暗を感じることができる約80個の目(眼点)があり、身を守るのに役立っている。

この外套膜は、お酒のつまみなどによく加工される、あのヒラヒラとした「ひも」のことである。

 

じつは性転換もします

ホタテガイの貝柱の脇には、三日月型の「生殖巣」がある。この生殖巣が乳白色のものはオス、オレンジ色や桃色のものはメスだ。

繁殖期は春で、海中に放卵・放精する。受精卵は幼生となり、30~40日ほどのあいだ浮遊生活を送る。その後、しばらくは足糸を使って海底の砂や石などに付着するが、成長すると自ら足糸を切り、海底での自由生活をはじめる。

最初はどの個体もオスで、その後、ほぼ半数がメスに性転換することが知られている。

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