色鮮やかな“親戚”がいます
ホタテガイと同じイタヤガイ科に属し、西日本を中心に食用に流通している二枚貝に、ヒオウギ(Mimachlamys nobilis)がある。
うまみが濃く、焼いたり刺し身にしたりして食べる。ホタテガイと比べると、ヒオウギはサイズが小さい。
貝殻には黄色、紫、オレンジ色など、さまざまなタイプの色彩変異があり、貝細工やランプなどに加工される。


ホタテガイは北海道や東北地方、千島列島、朝鮮半島北部といった冷たい北の海がおもな分布域となっているが、一方のヒオウギは房総半島から沖縄にかけての温暖な海域に分布し、愛媛県など西日本各地で養殖がおこなわれている。
ネット通販では「南のほたて貝」などと紹介されることもあるヒオウギだが、ホタテガイのように大量に流通していないため、国の統計でも独立した項目としては扱われず、「その他の貝類」というジャンルにひとくくりにされている。
海域ごとにすみ分ける他の親戚たち
ホタテガイやヒオウギのほかにも、国内で食用に流通するイタヤガイ科の貝にはさまざまな種類がある。
暖海性の種としては、房総半島や山陰地方から九州にかけて分布するツキヒガイ(Amusium japonicum japonicum)、冷水性の種では東北地方以北や日本海北部に分布するエゾキンチャク(Swiftopecten swiftii)、北海道~東北地方のアカザラガイ(Azumapecten farreri akazara)などが有名だ。
また、イタヤガイ(Pecten albicans)は、北海道南部から九州にかけて広く生息している。

同じ「イタヤガイ科」というグループに属する二枚貝でありながら、その分布海域は種によって大きく異なっている。