2020.08.21
# 海 # 気象

国産ものが消滅する!? ホタテガイの生存を脅かす一大危機の正体

「冷たい海」への適応進化が裏目に出る
山本 智之 プロフィール

オホーツク産と日本海産の違いは?

冷たい海を好むホタテガイの場合、漁業がさかんな国内の海域は、北海道と東北の一部に限られている。

日本のホタテガイの生産量(2016年)は約40万トンで、その内訳は漁獲量と養殖生産量がほぼ半々だ。全国の漁獲量21万3710トンのうち、地域別では北海道が21万1871トン(99.1%)と圧倒的なシェアを占め、青森県が1839トン(0.9%)となっている。

養殖では、全国の生産量21万4571トンのうち、青森県が12万348トン(56.1%)で、以下、北海道が8万2531トン(38.5%)、宮城県7840トン(3.7%)、岩手県3853トン(1.8%)と続く。

全国一の水揚げ量を誇る北海道のホタテガイ漁業は、「地まき式」と「垂下(すいか)式」に大別される。

地まき式は、稚貝を海にまいて育て、2~4年後に大きくなったものを桁網(けたあみ)という爪のある網を引いて漁獲する方式で、おもにオホーツク海側でおこなわれている。一方の垂下式は、稚貝をロープやかごを使って海中につるし、1~2年育てて漁獲する方式で、噴火湾を中心とした北海道南部や日本海側でさかんだ。

地まき式でとれたホタテガイの量は漁獲量の統計、垂下式は養殖収穫量の統計に、それぞれ区分されている。

 

「生息適地」が減っていく

ホタテガイは、高い海水温が苦手な二枚貝だ。このため、地球温暖化にともなって海水温の上昇が進むにつれて、北海道から東北地方にかけて存在するホタテガイの「生息適地」はしだいに減少していく運命にある。

日本のホタテガイ漁業には将来、大きな影響が出る可能性があるのだ。

同じイタヤガイ科というグループに属する「親戚どうしの貝」だが、ホタテガイは北の冷たい海に、ヒオウギは南の温かい海に、それぞれ適応して暮らしてきた。日本の主要な水産物となったホタテガイに比べれば、ヒオウギは流通量が少なく、どちらかといえばマイナーな存在といえるだろう。

しかし、「海の温暖化」が今後さらに進行したとき、北の海で暮らしてきたホタテガイは、寒冷な環境に適応して進化したことが裏目に出て、不利な立場に追い込まれるおそれが大きい。はたして、ホタテガイを待ち受ける過酷な運命とは?

他の生き物も含め、日本近海の海に生じる異変について詳述した最新の拙著、『温暖化で日本の海に何が起こるのか』をぜひご一読いただきたい。

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