「ご褒美」を手に入れないのは「弱い」からじゃない

ホモソーシャルの空気にNOと言えず、そのまま飲み込まれてしまう男性は少なくないだろう。本当は求めていないのに、「ご褒美獲得合戦」のレールを走らされている人や、そのレールに乗れないことで敗北感を抱いて女性を敵視する人もいる。

中には女性を敵視するあまり、憎悪に近い感情を抱く男性もいるという。こうした男性はアメリカでは「インセル(Involuntary celibateの略語。「不本意な禁欲主義者」の意)」と呼ばれ、その女性への加害性が昨今では社会問題として語られるようにもなってきている。

しかし我々男性の首を締めているのは、「ご褒美」である女性でもなければ、「ご褒美」をありがたく頂戴できない自分の「弱さ」でもない。女性は「ご褒美」で、それを喜ばない人間を「弱者」だと思わせる、この男性社会に他ならないのだ。

〔PHOTO〕iStock
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僕はたまたまゲイであるが故に、そこにNOと言うことができた。いや、NOと言えたというよりも、NOと言うしかなかった。ゲイであることを言わないままホモソーシャルの空気に溶け込んだとしても、いつそこから弾き出されるかわからない恐怖があったからだ。

でも、自分のセクシャリティに何の疑問も抱いたことのない男性でも、僕と似た想いを抱いている人はいるのではないだろうか。上司からの誘いを断ったとき、「助かった」と僕に言ってきたかつての同僚のように。

僕は男性に問いたい。あなたが今求めているものは、本当にあなたが欲しているものなのか? と。周囲から「ご褒美」をぶら下げられているうちに、なんとなく手に入れなければいけないと思い込んでいるものだったりはしないだろうか。その思い込みはきっと誰かを傷つける。女性や、男性社会に溶け込めない男性たちを。そして、あなた自身を。