71人の女性を殺害した男…ゲイリー・リッジウェイの歪んだ素顔

「殺した数は、多すぎて覚えていない」
阿部 憲仁 プロフィール

行き詰った捜査本部は、こともあろうにテッド・バンディーにアドバイスを求めている。テッド・バンディーとはアメリカ史上もっとも有名な連続殺人犯で、やはり被害者の遺体と性行為を繰り返したことで知られており、時には遺体が腐敗するまで性交することもあったという。

しかし「犯人は必ず自分が殺した死体と性交するために、遺棄現場へ戻って来るはずだ」というバンディーのアドバイスも空しく、犯人は捕まらなかった。1987年には、ゲイリーの唾液と髪の毛のサンプルを採取するところまで至ったものの決定打にはならず、捜査は八方塞がり状態だった。

アメリカ史上最も有名な連続殺人犯テッド・バンディー[Photo by gettyimages]
 

殺人のピークが過ぎた1988年、ゲイリーは3番目の妻と結婚している。彼女はあまりニュースを見なかったため「グリーン・リバー・キラー」のことはよく知らなかったらしい。2人の婚姻関係は、逮捕後まで続いた。

ある女性作家が、逮捕された後のゲイリーに面会したところ、「僕は3番目の妻を僕は本当に愛していたんだ。だから彼女と一緒になってからは3人しか殺してない」と、歪んだ愛情を吐露したという。

2001年、警察は採取したサンプルのDNA鑑定結果に基づき、トラック工場で勤務中のゲイリーを逮捕した。容疑は「1982年~83年に行われた4件の殺人」で、被害者の体内に残された精子のDNAが、彼のものと一致したからだ。また彼が働く工場で使われていた特殊なスプレーの成分が決め手となって、さらに3件の殺人で逮捕された。

しかし警察は、この7人以外の殺人事件について決定的な証拠をつかめなかった。そこで「49件の殺人を認める代わりに、死刑ではなく終身刑にする」という司法取引が結ばれ、彼は起訴されたのだ。

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