支配エリートが進める現代版「帝国主義」と闘うにはどうすべきか?

反緊縮左派が試されるとき(6)

平成のリベラルも…

ところが、冷戦左翼のいろいろな論点を反省して生まれたはずの平成期のリベラルたちは、私から言わせれば反省する必要もない大事なことをたくさん反省して捨て去ってしまったのですが、この最も反省して捨てなければならなかった点ばかりは、まったく変わらずに引き継がれたように思います。

すなわち、自分の言う通りに社会を変えないと「ハルマゲドン」がくるぞと脅かして社会変革の根拠づけにする姿勢です。

財政危機論はもちろんそうなのですが、特にその弊害がモロに出たのが「アベノミクス破綻論」だったように思います。

警告に聞く耳を持たなかった野党

私は安倍さんが再登場したそのときから、大変な好景気を実現して選挙に圧勝し、改憲を筆頭とする戦後民主主義破壊を推し進めることを警告してきました。

そしてその後も、安倍内閣支持率が高くて選挙に圧勝する原因は、民主党政権時代と比べた景気や雇用状況の改善にあることを示し、野党が安倍さんの政策を上回る景気拡大策を示さないと選挙に勝てないし、悪政を止められないということを訴え続けました。

ところが、そんなことを言うと最初から安倍応援団扱いされてバッシングの嵐。言えば言うほど味方陣営のはずの人たちから叩かれました

そんなこともあって野党のみなさんは全然聞く耳を持ってくれず、選挙で経済政策を表に出すこともなく、野党共闘で数合わせすれば勝てるみたいなピントのはずれたことばかりしていて、選挙のたびに負け続けてきました。

結局5回負け続け、悪法の数々が作られて、政治の私物化がさんざんなされたあとになって、ようやく少し話が聞いてもらえるようになり、2019年の参議院選挙では積極的な経済政策を表に出して闘う野党も複数出るようになりましたが、もっと早くからそうしてくれたらよかったのにと悔やまれます。

アベノミクスは破綻しなかった

なぜ聞く耳を持たれなかったのかを今から振り返ると、こういうことだったのではないでしょうか。

野党のリーダーのみなさんは、安倍政権ができた当初、「アベノミクス」は成果を上げることなく1~2年で大破綻すると思っていたのではないでしょうか。

野党はことあるごとにアベノミクス破綻を「予言」してきた(photo by iStock)

だからここは「アベノミクス」に飛びついている有権者に媚びることなく、もう経済成長の時代ではありませんと言って、経済問題以外のことをアピールポイントにすればよい。

今は負けるだろうけど、数年後にはひどいインフレか何かがきて経済が大破綻するので、そのときになったら、アベノミクスへの怨嗟が起こって「あんたの言う通りだった」と支持が集まって選挙に圧勝できるだろうと、こんなふうな作戦だったのではないでしょうか。

ところがその後、ちょっと経済に動揺があるたびに「アベノミクス破綻!」と言い続けてきましたが、結局延々「アベノミクス」は破綻することなく、安倍自民党は選挙で勝ち続けたのです。