関西が優位なわけ
今度は、接触率の変化を図で見てみよう。
『半沢直樹』初回では、接触率は東京が断トツの1位だった。ところが、東京より低くスタートした奈良や沖縄が急速に数字を伸ばし、第6話では逆転している。
まず関西の2府3県が18%以上のトップ7に入ったことについては、関西人にとっての親近感を挙げる人がいる。在阪の民放関係者は、「ドラマのシーズン1が関西を舞台に始まった関係で、この番組に親近感を持つ人が多い」という。確かに、シーズン1の半沢直樹は大阪西支店の融資課長だった。
関西独特の笑いのセンスを理由に挙げる人もいる。別の民放関係者は、「吉本新喜劇に見られるように、関西では“ベタ”が好まれる。半沢直樹は非常にクオリティが高いですが、大筋は勧善懲悪の“ベタ”な物語です。そのような風土が関係しているでしょう」と話す。
お笑いの世界に造詣の深い人物も絶賛する。
「関西の人はコメディとして見ているでしょう。歌舞伎役者のオーバーな演技に、『おいおいそこまでやるんか?』『エライ顔しとんな』など、家族でツッコミを入れつつ爆笑しながら観ている。それでも毎回問題が起きつつスッキリさせてくれる。娯楽としてのテレビドラマで100点でしょう」
では関西の中でも、なぜ奈良が全国トップなのか。人々の気質に原因を求めるのは容易ではないが、放送のチャンネル状況があるかもしれない。奈良は初回から大阪・兵庫より0.5ポイントほど高く始まり、6話では1ポイント強も上回るようになっていた。大阪テレビやサンテレビが映らないため、主要なチャンネルに注目が集まりやすくなっていたとも考えられるだろう。