北里大学大村智記念研究所ウイルス感染制御学研究室1の片山和彦教授らの研究グループが4月17日に発表した『医薬部外品および雑貨の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)不活化効果について』の第二弾『新型コロナウイルスに対する消毒薬の効果を検証 日常生活におけるSARS-CoV-2 感染予防に有用な製品を評価』の研究結果が発表された(9月1日現在)。

4月の発表では、複数の企業に商品名公表の許諾の声掛けをしながらも、許諾が得られず、研究協力の許諾が得られたのは、花王だけとなったが、今回の発表では、複数の企業が手を挙げ、研究に協力している。第一弾の結果も合わせて、片山和彦教授らの研究グループが今回発表したデータとともに、研究の経緯についてお話をうかがった。

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研究のきっかけは、「家族を守るため」

第一弾、第二弾とも調査のターゲットとなっているのは、ドラックストアなどで誰もが購入できる消毒などで活用されている商品だ。第一弾が発表された春先には、本サイトでもご紹介したが、多くの反響をいただいた。アルコール消毒系の商品が市場から消え、多くの人が何を使ったらいいかわからない状況での発表でもあったため、多くの人たちから「ものすごく役になった」「代用できるものがあって安心した」という声が集まったという。

そもそもどうして、市販される商品の検証研究をはじめたのだろうか。実験を指揮した北里大学大村智記念研究所 ウイルス感染制御学研究室1 教授の片山和彦氏に話を聞いた。

発端は、身近な人々、つまり家族の安全を守るためにはどうすれば良いのかです。私たちはウイルスの解明およびワクチン、抗ウイルス薬、消毒剤の開発などに携わっているチームです。日々ウイルスと関わっているのですが、新型コロナウイルスが登場して、異変がおきました。高濃度な新型コロナウイルスを扱う研究者が、安全に研究をするためには消毒剤であるエタノールが必須です。この入手が難しくなってしまったのです。これは、私たちの研究には致命的な問題になると同時に、家族や身近な人々に危険が及ぶ深刻な問題になります。

エタノールは入ってきても数に制限がある。ウイルスから研究者を守るためには、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を不活性化(※)でき、簡単かつ豊富に入手できるほかのアイテムを探さなくてはならない。また、家に帰ると、消毒剤が市場から消えて、家族が困っていたのです。そんなことから商品の検証研究はスタートしたのです」(片山氏)

切実な問題だったからこそ、すぐに検証研究をスタートし、4月という早い段階で発表できたのだという。

※不活性化とは、ウイルスを感染できないようにすること。短く“不活化”と言うこともある。

検証研究の発端は、「家族を守るため」という切実は思いだった。photo/iStock