国内はプラス成長だったけど…
ではアベノミクスが実施された期間の成長率はどの程度だったのだろうか。2012年10~12月期から2019年10~12月期までのGDP(国内総生産)の平均成長率は、物価を考慮した実質で0.9%だった。安倍氏は幾度となく実質2%の成長を実現すると説明していたが、その半分以下というのが現実だった(ちなみにコロナ危機は特殊要因なので2020年1月以降については計算から除外してある)。
この間、米国やドイツなど諸外国は1.5~2%の成長を実現しているので、日本は相対的にはマイナス成長だったといってよい。諸外国の経済が成長していると、日本人の賃金に変化がなくても輸入品の価格が一方的に上がり、生活が苦しくなってしまう。

近年、経済指標と実際の生活実感に乖離が生じているとの指摘を耳にすることが多いが、基本的にそれはあり得ない。多少のタイムラグはあるにせよ経済指標と生活実感は必ず一致する。ここ数年、生活が苦しくなったと感じる国民が増えており、その原因となっているのは、日本の成長率が低く推移したことによる、相対的な日本人の購買力低下である。
日本は生活物資の多くを輸入に頼っており、鎖国でもしない限り諸外国の経済から影響を受けてしまう。日本国内で成長率がプラスであっても、相対的な成長率が他国よりも低ければ実質マイナス成長と同じであり、その点では、アベノミクスはうまく機能しなかったと判断されても仕方がないだろう。
では視点を変えて、過去の経済政策との比較ではどうだろうか。