「最悪の事態」を避けるために
約20年前までは、「国家試験予備校」の大学の認知度は低く、また、現役医学生の利用率も低く、利用するのは基本的に「国試浪人生」(つまり国家試験に落ちてしまった人)だけであった。
ところが、徐々に現役の医大生が予備校を利用するようになった。それには、さまざまな要因があるようだ。

たとえば、予備校での国家試験合格率の実績が好調であることから、国家試験対策、卒業試験対策で利用されるようになったこと。こうして、低学年からの利用も増加した。医学部の2年生から3年生に上がるときの進級試験に落ちて、予備校に通い始めるという人も多いという。
進級試験に落ちる人が増えたのは、医学部入学時の選抜方法の多様化(推薦入試・AO入試、地域枠特別入試といった、受験科目の履修範囲を勉強せずに医学部に合格できるしくみの導入)により、基礎医学(解剖学・病理学・生理学・薬理学・微生物学など人体の構造や機能といった実際の臨床を学ぶ上で根幹となる知識)試験のハードルが高くなったことが理由だ。
このような学生は、一般入試をくぐり抜けてきた学生に比べ、基礎医学といった基本知識の習得が苦手で、学習についていけない傾向があり、予備校を利用しているという。