菅官房長官と安倍政権が「沖縄」に対してやってきた、これだけのこと

「菅政権」は沖縄の悪夢かもしれない
福元 大輔 プロフィール

次に、警察や海上保安庁が抗議する住民らを排除する際の根拠である。辺野古移設が始まる前、警察は警察官職務執行法5条、海保は海上保安庁法18条を上げていた。そこには、まさに犯罪が行われようとしている時、警告したり、制止したりすることができると書かれている。

沖縄県警や海保の幹部を取材すると「政治的な表現の排除に慎重になるのは当然だ。まず防衛省が住民の理解を得るよう説得し、それができないなら(防衛省が)自前で警備員を雇うべきだ」と話していた。つまり、県警や海保は当初、住民の排除には積極的ではなかったのだ。

ところが、辺野古移設が始まると、海上では船やカヌーで埋め立て予定海域に近寄った住民らを海上保安官が拘束し、陸上では工事車両の出入り口に座り込む住民らを警察官が抱え上げ、排除した。

マスコミの問い合わせに、警察は警察法2条、海保は海上保安庁法2条を根拠に上げた。そこには、公共の安全と秩序の維持が任務であると書かれている。法律に書かれているのは「任務」の性質を示したものであっても、権限ではないはずだ。「辺野古対策で、政府が法解釈を変えたのは間違いない」と住民らの非難を浴びている。

 

「辺野古移設反対側」が12勝1敗

物理的な強引さに頼らなければ工事を進めることができないのは、沖縄県民が何度も示してきた民意を無視しているからにほかならない。

辺野古の埋め立てを承認した仲井真知事と、辺野古移設に反対する翁長雄志氏が争った2014年10月の知事選では、翁長氏が10万票近い大差で圧勝した。その後の衆院選、参院選でも辺野古反対の候補者が当選。翁長氏の死去に伴う2018年9月の知事選では後継の玉城デニー知事が大勝した。

翁長元県知事〔PHOTO〕Gettyimages

辺野古移設に着手してからの知事選と国政選挙では、「辺野古移設反対側」が12勝1敗という結果になっている。政府、自民党の支援する候補者がいずれも「中央と連携した沖縄振興」を主張したため、辺野古反対か、経済か、という構図で、沖縄県民が「辺野古ノー」を突き付け続ける意味は大きい。

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