主演ドラマ『ホームルーム』は2020年1月クールの深夜に放送された連続ドラマ。千代さん原作のスクールホラーで、山田裕貴さんは主役の「ヤバい」教師を演じた。このドラマは深夜枠にもかかわらず、同クールだった『テセウスの船』『恋はつづくよどこまでも』といったドラマをおさえ、TVer視聴ランキング1位に輝いている。

そんな山田さんが9月18日に30回目の誕生日を迎える。なんとTBSチャンネル1では9月18日19:00から翌19日14時まで「みんなで祝おう!山田裕貴30歳の誕生日!!」と題して、『もっと知りたい!山田裕貴30thSP 生誕祭』いう特集番組を放送。ゲストを迎えたトーク番組に加え、今まで出演したドラマや舞台の一挙放送が行われるという。「『なつぞら』で注目された山田裕貴」という枕詞があっというまに不要になった山田さんの躍進の秘密を、インタビューを行ったライターの菊地陽子さんに分析してもらった。SNSで見せる素顔とともに、お届けしよう。

8月11日にインスタグラムやTwitterで公開されたプライベートショット photo by @ryyupoteyan

100%の力で答えようとする

「ぼくのことを知りたいと思ってくれている人は、ぜひ読んでみてもらいたいかもです。ちゃんと喋れてる(笑)」

山田裕貴さんのインタビューがFRaUwebで公開され、それを読んだ彼が上記のようにツイートしてくれたのは、昨年の秋のことだ。舞台『終わりのない』の稽古が始まるタイミングで取材日が設けられ、その日は、世田谷パブリックシアターで10本近くある取材に対応していた。我々の順番は最後から2番目。とうに日は沈み、普通の家庭なら夕食を済ませる時間である。撮影が始まってフォトグラファーが「お疲れでしょう?」と声をかけると、彼はにこやかに、「ぼく、疲れたこと、ないんです」と答えた。ぶっきらぼうなわけでもなく、かといって強がっているわけでもない。ありのままの彼が、撮影にもちゃんと集中していることが伝わってきて、瞬時に好感を持った。

 

舞台についてのインタビューなので、おそらく似たような質問を何度もされているはずだった。なのに、こちらの質問に対して、頭を掻いたり、悩みながら顔をくしゃくしゃにしたり、瞳をクルクル動かしたり。まるで自分の中にある感情に一番フィットする言葉を探しているよう。宣伝のために取材は不可欠だとしても、俳優としては、話すことは本業ではない。なのに、100%の力で質問に答えようとする姿が、清々しかった。

「僕の場合、一つの役に注ぐ情熱は、いつも同じなんです。全力でやること。ベストを尽くすこと。心を込めて演じること。それしか考えていません。役の大小とか、作品の内容によって、自分のエネルギー出力を調節するわけじゃないです。ただ役のことを考えて考えて、掘り下げる。何がこの人をそうさせたか、徹底的に考える。考え抜くことは、僕にとっては当たり前の作業で、『わからなくてもいいや』とは到底思えない。そうやって、台詞と感情を繋げるためのあらゆる想像をした上で、本番は“ハート”で演じます(笑)。音楽でも芝居でも、何かを表現する時に、どんなテクニックより勝るのは、ハートだと思っているんです」

 舞台『終わりのない』は2019年秋に上演。脚本・演出が前川知大、監修・野村萬斎で安井順平・仲村トオル、奈緒など実力派の揃った舞台となった。9月18日の生誕祭にて初めてテレビで放映される

そう語っていた言葉に、彼の人としての魅力が集約されている。彼がベストを尽くそうとするのは芝居だけではなく、それが取材であっても、「一期一会を大切にしよう」「何事にもベストを尽くそう」としているように見えたのだ。

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