「殺人はそれほど悪いことじゃないわ」
犯行から2ヵ月以上経った7月31日。痺れを切らしたメアリーは、3歳の男児、ブライアン・ハウの絞殺に及ぶ。さらにその際、遺体の腹部にはわざわざメアリーの頭文字である「M」の字を刻んだ。
2回目の犯行が前回と違ったのは、わずかながらメアリーによる絞殺の跡が残っていたことにある。ここで初めて警察は、当時11歳のメアリーと13歳のノーマ・ベル、2人の少女への事情聴取が行われた(2人は親族関係ではなく、友達同士)。
この事情聴取の中で、犯人しか知り得ない情報をメアリーが話したことが決め手となり、また殺害時刻に2人が一緒にいたことから、共に殺人容疑で逮捕されることとなった。

法廷では、事故死と認定されていた1回目の事件の殺人容疑も浮かび上がったものの、裁判になると、メアリー、ノーマの両者が責任をなすりつけ合い、お互いに無罪を主張する様相を呈した。この時、メアリーを見ていた精神科医は彼女を「11歳とは思えないほど、利口で危険」と評している。
裁判の結果は、ノーマは保護観察処分で無罪に、一方のメアリーは2件の殺人事件について有罪になる。収容施設で精神治療を受けたのちに釈放、という形での懲役刑が科され、1980年、22歳の時にメアリーは釈放。その後、幸せな結婚生活を送ったという。
11歳にして“快楽殺人者”となったメアリーは、以下のような発言を残している。
「大きくなった看護婦になりたい。人に針が刺せるから」
「殺人はそれほど悪いことじゃないわ。人は誰でもいつか死ぬんだもの」
我々の想像を遥かに超えた狂気は、これからも語り継がれるであろう。