菅官房長官の「デジタル庁」構想には知られざる布石があった…!

構想の根っ子となった本の存在

「デジタル庁」構想

霞が関をウォッチングしているマスコミの優れ者でさえその存在を知らない極めつけの経済産業省少壮官僚がいる。その人物は、同省産業技術環境局の瀧島勇樹技術振興・大学連携推進課長(2001年経産省入省)である。

同氏の名前を知ったのはつい先日のことだ。日本経済新聞(9月6日付朝刊)の一面トップに掲載された菅義偉官房長官インタビューを読み、同紙の大見出し「菅氏、デジタル庁検討へ」を目にしたことが契機となった。

 

寡聞にして、菅氏が4日夜のテレビ東京の「WBS(ワールドビジネスサテライト)」に出演、デジタル庁(仮称)創設に言及していたことは知らなかった。そこで「デジタル庁」構想であれば間違いなく経産省が関与しているはずと考えた筆者は日曜日の午前、敢えて同省幹部に電話した。

永い付き合いのその幹部は「この構想の根っ子となった本があります。『WIRED日本版』編集長だった若林恵という人物が編集した日経ムック版の『NEXT GENERATION GOVERNMENT』を読むとよく理解できます」と述べ、筆者が「経産省の人間が関与しているはずです。名前を教えて下さい」と求めたが、笑って「本を読めば分かりますよ」と答えるだけだった。

『NEXT GENERATION GOVERNMENT 次世代ガバメント 小さくて大きい政府のつくり方』(若林恵・責任編集/日本経済新聞出版刊)

片っ端から大手書店に問い合わせたものの、昨年12月発行にも関わらずなぜか絶版の同書を見つけることができなかった。だが、キンドルで読んだ編集後記に記述されている件の「瀧島勇樹」の名前に辿り着いた。

同書を責任編集した若林氏ら民間人7人と、「天才肌」(先述の幹部)という瀧島氏ら経産省官僚6人の勉強会を経て19年8月に作成した報告書が基になっているのだ(因みに瀧島氏は当時、商務情報政策局デジタル戦略企画官)。

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