文/FRaU編集部

会った瞬間から左手の薬指をチラ見

「以前仕事をした人」と久々に会って、「わあ、お久しぶりです~!」というのはよくある話。しかしそのとき、「チラ見」されて「モヤる」ことはないだろうか。
それが左手の薬指だったり、服装やバッグの値踏みだったり、ちょろっとのぞく白髪だったり。「チラ見」される側はけっこう敏感に気がつくものだ。

9月11日に発売となった伊藤理佐さんの最新刊『おいおいピータン!!』はオムニバスのショートコメディだが、まさにそんな身近な「人生あるある」が凝縮された人気連載だ。

 

今回無料試し読みをお届けするのは、かつて仕事を一緒にしたことのある女性たちの再会エピソード。主人公の「ピータン」こと美味しいものをこよなく愛する大森さんと結婚した渡辺さんが、かつて仕事を一緒したことのある女性からまさに「左手の薬指をチラ見」されるところから始まる。

カフェで席を一緒にするや、渡辺さんの薬指に結婚指輪がないなとチェックした彼女、実は結婚していると聞いて即座に出た言葉が「あー、結婚指輪しない派ですか!」。おいおい、本人わかってないけど、チラ見していたこと白状しちゃってますよ……。

どうやらぶっちゃけ渡辺さんより可愛いと思っている本人、一瞬ひるむが、結婚相手を大森さんだと聞いた時の表情たるや!「なら私の勝ちね」的な笑顔で「え~、いいなあ、私まだ独身でーだれかいい人いませんかねー。大盛さんのどこがよかったんですかあ?」と上から重ねてくる(本当は「大森」ですが「大盛」的に話している)。一見可愛く質問しているように見せて、「あのデブな彼のどこがいいんや!」的な空気を伝えてくるあたり、『スカッとジャパン』再現ドラマの小林麻耶か田中みな実か、という感じなのである。

(C)伊藤理佐/講談社『おいおいピータン!!』より

ムカッとしたら、どうする?

さて、withオンラインの「【マウンティング女子】あるあるエピソードと効果的な4つの対処法とは?」という記事を見てみると、そういうマウント女には(1)近寄らず、(2)近寄ってしまったらとりあえず褒めて、(3)自分の情報は与えずに(4)この子にマウントしてもつまらないと思わせる……のがよいと、なかなか説得力のあることが書かれていた。

では、『おいおいピータン!!』で渡辺さんはどうしたか。実は渡辺さんはお茶しているところに向こうから「一緒に座っていいですか?」と聞かれたので、(1)は無理、(3)ではすでに情報をたくさん渡してしまっており、もはや絶体絶命……。しかし彼女が呆然としながら逃げ帰る秘策に出たのである。あなたなら、マウント女にどうやって切り返していくだろうか。

ここで学ぶのは、「口だけの奴ほどカッコ悪い」という事実でもあるのだ。