竹中平蔵氏、じつはかつて「公共投資の拡大」を声高に主張していた

自在に変わる思想と「アメリカの影」
佐々木 実 プロフィール

その後、経済学界内ではなく、広く日本社会に向けて「公共投資増額論」を展開していった。たとえば、『季刊アステイオン』(一九九一年秋号)で、「巻頭百枚」と銘打って「社会資本充実への最後の機会」という大部の論説を書いている。

「日本の高速道路の整備状況は欧米諸国の半分にも満たず、その貧弱さが顕著」として道路の建設を求め、下水道も「いまだに一九七〇年前後の諸外国の水準よりも低水準」、空港や都市公園なども国際比較のデータを示しながら整備が遅れていると指摘した。

 

「社会資本の整備が立ち遅れている点で、日本は世界において特異な存在だ」。そう主張したうえで、「一〇年間で四三〇兆円」は「最低限の投資額」にすぎない、つまり、四三〇兆円では不十分だという結論を導き出している。

のちに小泉政権の経済閣僚として登場するとき、「緊縮財政」を高々と掲げる竹中だが、かつては公共投資拡充論者だったのである。「四三〇兆円にさらに一〇〇兆円を積み増せ」と提言したほどだ。「公共投資増額とあわせ、公共事業の受注をアメリカ企業に開放すれば日米摩擦の緩和につながる」とも発言していたのである。

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