2020.09.29
# FinTech

「あなたの口座は世界中の犯罪者に狙われている」あまりに残酷な現実

ドコモ口座、SBI証券事件の検証
大原 浩 プロフィール

預金は儲からないから粗雑に扱われる

2の金融機関側の問題の本質は「預金は儲からないから、預金の安全保護のための投資を行わない」という点にある。

8月27日の記事「もう銀行に預金はいらない…いよいよ『りそな』が再編の風雲児となるか」で、みずほ銀行の「通帳有料化」に触れたが、預金を集めても儲からない。むしろ負のコストになりつつある。

特に地銀が、低金利だけではなく地方経済の縮小も含めて苦境にあるのは、8月18日の記事「銀行の終焉はあり得るのか? 核心『融資ノウハウ』があれば生き残るが」や2019年6月30日の記事「『地方』と『地方銀行』はなぜ衰退するのか?」で述べたとおりだ。

銀行全体が儲かっておらず苦しい状況なのに、今や「コスト」になりつつある預金のセキュリティ対策に多額の出資をしたくないというのが本音だろう。それならば、銀行預金口座とキャッシュレス・アカウントとの紐づけなど行うべきではないのだが「それでは競争に負けてしまうから紐づけを推進する」という矛盾した態度が大きな問題を引き起こす原因ではないだろうか?

また、預金は、「入れたものを出すだけ」なのが本来の役割である。伝統的な銀行業務では「預けた自分のお金を引き出す」だけの銀行口座開設の本人確認はそれほど厳しくなかった。最近銀行口座開設の際の本人確認が厳しくなったのは、米国政府を中心とした世界的な「マネーロンダリング対策」の影響である。

 

しかし、今回SBI証券で起こった「引き出し事件」では、偽名の銀行預金口座が多数作成された疑いがある。SBI証券の資金は「本人名義」の銀行口座にしか送金できない仕組みであるからだ。

SPONSORED