20年後にも、ほとんど変わらない発言が…

1997年、ピルの認可を求めて設立された「性と健康を考える女性専門家の会」という団体がある。設立時の呼びかけ人である堀口雅子医師は、当時ピル認可について検討するための公衆衛生審議会を傍聴し、「認可されれば女性の性行動が活発になりエイズなどの性感染症の蔓延が危惧される。したがって認可すべきではない」という論調の議論を、「何度も“違う!”と声にならない声をあげ、こぶしを握りしめたことでしょう」と振り返っている。

実は1997年当時、何十人といる公衆衛生審議会のメンバーに、女性の委員はひとりもいなかったのだという。

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それから約20年たった今、この社会は、どこまで変われているだろう。

私は昨年、緊急避妊薬のオンライン診療に関する検討会を傍聴した。検討会のメンバーの中で女性は、12人中1人である。20年経って、増えたのはひとりだ。

そして、交わされたやりとりは、

「望んでいない妊娠をターゲットにするということは、全ての人ということに結局はなってしまうので、そこをどのように整理するのか」

「(産婦人科の受診に関して)精神的な負担と言ってしまうという声もある。本当にそういう人もいるだろうし、そういう(セックス)名目でそれ(緊急避妊薬)をもらいに行く人たちも非常にふえてくる。つまり無制限に広がってしまう」

「避妊に対しての考え方が軽くなる」

「不適切な避妊方法は増えるのではないか」

「日本の環境というのは海外に比べ、今先進国の中でこれだけ性感染症がどんどんふえている環境もあって、緊急避妊薬のオンライン化によって利益を得られて、このことによってプラスの効果がある場合と、また逆にそのマイナス面が出てくる場合と、どちらが大きくなってしまうかというのは厳密にはちょっとわからないと思うんです」

「日本でこれだけ若い女性が性に関して知識がない状況で、それ(緊急避妊薬の薬局での入手)はできない」

20年前の議論となんらかわらない発言も少なくなく、衝撃を受けた。

自分たちが変えていかなければならない

先日、菅義偉新総裁、それに次ぐ最高幹部の党三役が決まった。全員男性、4人の平均年齢は72才。そして閣僚を見ても女性は20人中2人国会議員全体を見ても、女性比率はやっと1割を超えたところだ。衆議院では1割を切る

菅新内閣も女性は20人中2名だけだ。photo/Getty Images

もちろん、年齢や性別だけでその人の考えはわからないし、人の考えは学びによってはどんどん変化を遂げる。実際、低用量ピルの審議でも、認可を進める国会質問をした中には男性もいた。しかし、今政治の中心にいる人たちの多くは、20年前、50代前後で、この記事でこれまで書いてきた、「男性社会が当たり前」の中に生きてきた方々だ。そして今も、彼らは周りを見渡せば男性だらけの環境にいる。

私は、過去の風潮や記事、発言を批判し、ひとつひとつを糾弾したいのではない。正直、読むだけでもショックを受けたし、悲しい記事だと落ち込みはしたが、「そんな意見が大手を振っていた現実」を見て欲しいのだ。そして、上記にあげた記事のような価値観が当然だとされていた時代が確かにあり、もしかしたら当時の価値観のまま、変わっていないこともありうると知る必要がある。

そういった中、緊急避妊薬はもちろん、性教育やより確実な避妊法へのアクセスなど、女性が望むライフプランを叶えるために必須な知識や医療への課題は、相変わらず閉ざされ続けたままだ。出産費や不妊治療の減税などが議題として上がったことはせめてもの救いではあるが、敢えて言うならば、目に見えて国家にプラスになりそうなものだから、議題として上がったとは言えるかもしれない。

私たちはこの20年、どれだけ変わってこられたのだろう。そしてこれから次の20年、どのような未来を次の世代に残していけるのだろう。いや、私たちが変えていかなければならないのだ。

まだまだ「課題」という荷物は山積みだ。でも、未来のために、歩み続けなくては……。photo/iStock