文/FRaU編集部
「マザーキラー」と呼ばれるがん、悲劇を止めたい
妊娠を継続するか、それとも治療を優先し、赤ちゃんや子宮を諦めるのか――。
子宮頸がんによって、つらい決断を迫られる女性たちがいる。
いま、20〜30歳代の若い女性に増えている子宮頸がん。日本では毎年新たに約1万人が子宮頸がんにかかり、約3000人が亡くなっている。妊娠・出産年齢や子育て世代と発症のピークが重なることから、子宮頸がんは「マザーキラー」とも呼ばれている。
「私たち医師は、たくさんの女性の、家族の悲劇を見てきています。子宮頸がんは、予防できるがんだと知ってほしい」
こう語るのは、大阪母子医療センター新生児科の小児科医、今西洋介さんだ。
今夏、今西さんは、小児科医、婦人科医、公衆衛生の専門家、弁護士たちと、「みんパピ!みんなで知ろう HPV プロジェクト(通称みんパピ!)」を立ち上げた。HPV感染症やHPVワクチンについて、正確な知識や情報が得られるプラットフォームを作り、啓発活動をしていく計画だ。活動資金集めのために始めたクラウドファンディングは、1800万円を超えた(2020年10月1日現在)。
HPVワクチンの定期接種の時期は、10代の思春期にあたる。日々子どもたちの心身と向き合う今西さんは、小児科医こそこの問題に真剣に取り組むべきだと考えている。子宮頸がん予防のためのワクチン接種が広まらない現状を、どう解決していこうとしているのか。今西さんの思いを、皆さんに伝えたい。

今西さんは、テレビドラマにもなった産科医療漫画『コウノドリ』の監修者の一人。ドラマでは、大森南朋が演じた小児科医・今橋貴之のモデルにもなった人だ。
