日本語って、どうしてこんなにややこしいの?
前出の中村くんのケース同様に、小学1年生まで英語の環境で育った子どもを見ると、漢字の練習など、書き取りの宿題を嫌がる子どもが多いという。
「日本語の漢字は、音読み、訓読みがあり、書き順等も複雑で、子ども達は小学
校1年生から、ドリル学習を強いられます。一方、英語はアルファベット26文字
なので、漢字に比べればアルファベットを覚える方が易しいと感じるのだと思い
ます」

彼らが苦手意識をもつ理由の一つとして考えられるのが、言語の成り立ちの問題だ。
英語はアルファベット26文字を並べ替えるだけで言葉を綴ることができる言語。それに比べて日本語は、ひらがな、カタカナ、漢字と3種類もの文字を覚えなくてはならず、漢字は数も膨大だ。「“英語の方が簡単だ”と、学習を諦めてしまう子は少なくありません」と高橋教授も話す。
一度苦手意識を持つと、そこから学ぶ意欲を引き出すのはとても難しい。国内のグローバル化が進み、社会の中でも英語を使う必要性は高まりつつあるものの、高橋教授は、インターナショナル園などで幼児期を過ごす場合、日本語において、こうした学びの躓きを生む可能性があることを忘れてはいけないと注意を促す。