しかし、どんどん督促状が届くことになる。
どうやら夫は本当に自分がブラックリストになっても競売で売ろうとしているようだ。
夫側の弁護士に苦情を言うが、「支払いができないのでマンションの売却に協力してもらいたい」と言われ「マンションの売却に協力をしてくれるのなら、住宅ローンを返済し、売却の経費を払った後に残ったお金は、全てYさんに、引越代と賃貸費用として払う」と条件を出してきた。
通常、離婚の時の夫婦の共有財産は半分になってしまうが、マンションの売却して残ったお金は、全額払ってくれるというのでYさんにとっては有利な条件だが、彼女は自分の感情と折り合いをつけられず、絶対に売却に応じたくなかった。なんで夫が悪いのに私がここに住めなくなるんだ……と怒りでいっぱいだった。

届いた競売の通知
そして、それからしばらくすると自宅に突然裁判所から「競売開始決定通知」と届く。驚いたYさんは私のところに相談に来た。
「家が競売にかけられました。何とかならないでしょうか!?」
現段階で競売を取り下げるには、ローン残高を一括で返済するか、任意売却をする(要するに夫に協力して物件の売却を認める)かしかない。
離婚の住宅ローン問題では妻側が自宅に住み続けたいというケースがとても多い。やはり子供の環境を変えたくない、住み慣れた自宅に住みたいというのは当然の考えである。
しかし、離婚の際の所有名義の問題、住宅ローンの債務の問題を解消しないと、今回のケースのように、住み続けることは厳しくなる。前回の記事で紹介したKさんのように、離婚後も元夫が払っていくと約束しても途中から払っていけなくなるリスクもある。そのため、離婚のときに住宅ローンの問題を解消する必要があるのだ。