競売をした際に発生する、住宅ローンの「遅延損害金」や競売の申し立て費用で、夫の借金は膨れあがり、手残りはゼロになった。
Yさんには競売で落札した不動産業者から退去の通知が来た。そのまま住ませてほしいとお願いしたが、全く話にならず、引越代を交渉したが断固拒否され、1ヶ月以内に退去しないと強制執行で出て行ってもらうと言われた。Yさんはとうとう(元)自宅に住み続けることを断念し1円も引越し費用をもらうことなく、実家に引越した。
夫はブラックリストに載ってしまい、自宅を売却したら得られたであろうお金も残らず、夫に対して仕返しはできたかもしれない。しかし、家はなくなったが、離婚は絶対にしないと言うYさんの去り際の背中は寂しそうだった。
冷静に考えれば、金銭的には損得は明確である。
ただ損得ではなく善悪で考え感情を優先させることが、離婚問題ではとても多いのが現状だ。
家を買う時に離婚することを想定して住宅ローンを組む人はほぼいないだろう。
夫婦の住宅ローンは、共有名義、連帯債務、連帯保証、ペアローンなど収入を合算できたり、税務上の優遇などメリットも多い。ただ、いざ離婚となったときにその夫婦の住宅ローンが離婚の大きな足かせとなる。離婚をするからと言って名義の変更、債務の解消は簡単には出来ないからだ。そして、今回の事例のように感情のもつれが原因で一気にプラスの資産もマイナスの資産と化し、破綻に陥るリスクがある。