2020.11.03
# 教育

「神戸教員いじめ・暴行事件」を引き起こした「職員室カースト」の実態

報告書からわかった、その構造
諸富 祥彦 プロフィール

人気者で評判だった加害教員

みなさんは意外に思うかもしれませんが、加害教員たちは、事件前は保護者から評価の高い先生でした。

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加害者とされる男性教諭について「担任ではなかったが、頼りがいがあり、人気者という評判。信じられない」(神戸新聞 2019年10月5日)

加害教員について次のように言う保護者もいた。「本当に熱心で、親身になってくれる先生だったんです。問題を抱えた子の家に何回も足を運んだり、イジメやセクハラをしていたなんて信じられません」(「週刊文春」2019年10月31日号)

(加害者の40代女性教員について)「子ども一人一人の動きが見えていて、授業で指名する順番などよく考えられていた」と指導力の高さは感じていた。(神戸新聞 2020年2月21日)

加害教員についていずれも「頼りがいがあり人気者」「本当に親身で、熱心になってくれる」などと語られていて、指導力の高さをうかがわせるエピソードです。いわゆる「力があるとみなされる先生」であった様子が浮かんできます。

調査報告書には「男性若手教員のうち、本小学校で6年生の担任を長年続けてきたA教員が、構図的に職員室内で力を持っていたのではないかという見方をすることができる」と記されています(6年生の担任は、比較的やるべきことが多く、一定の実力以上の教員が任されることが多いのは確かです)。

 

逆に言うと、「力があると周囲からみなされている先生」だからこそ、職員室での発言力が高まっていったのでしょう。

ここで言う「力があると周囲からみなされている教師」とは、教師としての「役割」をこなすのに長けていた、という意味です。

子どもに熱心に指導できること、教科をうまく教えられること、保護者の要望にうまく応えられること……そんな教師の「役割」をうまくこなせていたからこそ、保護者からの信頼が厚く、同僚教師からも一目置かれ、管理職も注意しづらい存在になっていったのでしょう。

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