新型コロナ対策に、医師が「鼻うがい」を推す理由
堀田修医師にその根拠を聞く連日のように国内新規感染者数最多のニュースが飛び込んでくる新型コロナウイルス。「いかに感染を防ぎ共存していくか」の重要性がいっそう声高に叫ばれるなか、従来の予防策(マスク着用、手洗い、密を避ける、換気)に加え、「鼻うがい」を提唱するのが医師の堀田修さん(堀田修クリニック院長)だ。
ベストセラーとなった『つらい不調が続いたら慢性上咽頭炎を治しなさい』や最新刊『ウイルスを寄せつけない! 痛くない鼻うがい』など、数多くの関連書を著す堀田さんに、鼻うがいを「いま」推す理由と、はじめての人でも快適・効果的に実践する方法をきいた。
カギは「のど風邪」対策にあり
「元来のコロナウイルスには多くの種類があります。なかでも人間に感染するコロナウイルスはこれまで6種類ありました。うち4種類のコロナウイルスはのど痛など主にのどの症状があらわれる『のど風邪』の原因となりますが、感染しても軽い症状ですむことがほとんどです」
堀田さんはそう話す。

だが、残り2種類のコロナウイルスは、感染すると重篤な症状を起こすことが知られている。ひとつは2002年に「SARS(重症急性呼吸器症候群)」を引きおこした「SARSコロナウイルス」。もうひとつは12年に中東で「MERS」(中東呼吸器症候群)を引きおこした「MERSコロナウイルス」だ。
そして昨年、中国の武漢で人への感染が確認され、現在パンデミックとなっているのが7種類目のコロナウイルス「新型コロナウイルス(COVID-19)」である。
「新型コロナウイルスは従来の季節性コロナウイルス同様、『のど風邪』の症状が現れ、感染者のうち約8割(特に若年層)は、『のど風邪』のみで治ることが多いのが特徴です。ですが、高齢者が感染した場合は、免疫が過剰に反応する『サイトカインストーム』を起こすことがあります。その結果、重症化して命に関わる肺炎などにかかるケースが増えてしまうのです」
堀田さんは続ける。
「つまり、新型コロナウイルスの対策で重要なのは、まず『のど風邪』にならないこと。そして『のど風邪』にかかったとしても、早めに治してしまうことなのです」