2020.10.23
# マンション

マンション管理を苦しめる「空き駐車場問題」…維持費が「突然値上がりした」住民の悲劇

日下部 理絵 プロフィール

「一戸あたり100万円超」の大規模修繕

(2)そもそも計画が甘い、物価上昇に追いつかない

長期修繕計画の詰めがそもそも甘く、物価の上昇や消費税の増税等が加味されていないケースも多い。実施の準備段階(数年前)になって資金不足が判明し、急激な値上げを行うケースだ。

2018年に国土交通省が、管理組合等によるマンション大規模修繕工事の発注等の適正な実施の参考となるよう、大規模修繕工事の金額を公表した。

 

その金額によると、大規模修繕工事に実際にかかった一戸当たりの費用は、「75万円~100万円」が31%で最も多く、「100万円~125万円」が25%だという。しかし大規模修繕の工事費は値上がり傾向にあるため、今後はさらに積立金が必要になる可能性が高い。

にもかかわらず、自主管理や築古マンションでは、いまだに長期修繕計画がなく、行き当たりばったり修繕費を徴収している物件もある。長期修繕計画を作成している管理組合の割合は 90.9%と年々増加傾向にあるものの、その一方で月額の修繕積立金が1,000円と、到底大規模修繕など賄えないマンションも存在している。

長期修繕計画を作成していたとしても、当初の設定期間が短く、修繕費が足りなくなってしまうケースもある。計画期間は「30 年以上」が 60.0%と最も多く、次いで「25~29 年」が 12.7%であり、完成年次が 新しくなるほど計画期間が長くなる傾向にある。計画期間 30 年以上の割合は、単棟型で 63.4%、団地型で 46.4%にとどまっている。

定期的に長期修繕計画の見直しがされていない、マンションも要注意だ。長期修繕計画の見直し時期は、「5年毎を目安に定期的に見直す」が推奨されているものの実際は 56.3%、「修繕工事実施直前に見直しを行っている」では12.5%、「修繕工事実施直後に見直しを行っている」が 10.1%となっている。さらに、見直しを行っていないマンションの割合は 5.7%も存在しているのだ。

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