一個1000円のクロワッサン?
(3)無駄な共用施設
タワマンに多い、エスカレーターやカフェなどの豪華な共用施設。内見時は魅力的に映っても、必ず誰も使わなくなる「不人気コーナー」ができてしまう。
筆者はこんな話を聞いたことがある。とあるマンションでは、敷地内のカフェで出てくる「クロワッサン」が名物らしい。その住民は「ここで食べるクロワッサンは最高!」と言っていたが、その費用は管理費から捻出されている。
しかもフタを開けてみると、クロワッサン1個に実質1000円以上の管理費が使われていたこともわかった。利用しない人からすれば、ただの無駄遣いにしか見えない。
その事実を知った管理組合が組合員にアンケートをとり、総会決議の結果、カフェの廃止が決定した。早めに決断できたからまだ良かったほうだ。プール、スパなどの温浴施設は「金食い虫」の代表格で、解体費用もタダではない。
もしこのような施設がある物件を選ぶときは、その維持費や解体費用までがマンション価格に乗っかるイメージをきちんと持つ必要がある。
(4)空き駐車場の増加
共用部分のなかでも、全国のマンションで深刻なのが、空き駐車場の増加だ。
実は、ほとんどの駐車場付きマンションにおいて、管理組合は駐車場収入をアテにして管理費会計の収支を立てている。マンション購入時に管理費と修繕積立金の額が提示されたかと思うが、これは当初はデベロッパーが設定する。その後の見直しは管理組合で行っていく。
ざっと計算してみよう。1棟で50戸のマンションで、管理費の月額平均が戸当たり10,862 円(平成30年度マンション総合調査より)だとする。このマンションの月額の管理費による収入は、543,100円だ。
そして、月2万円の機械式駐車場が30台分あるマンションの場合、駐車場収入だけで、月額60万円と管理費収入より高い計算になる。この収入は管理費会計の収入に充てていることが多い。