マンションが「多重債務者」に?
(2) 一時金の支払い
無理な値上げでも対処できるマンションはまだいい。無理な値上げで対処できない(間に合わない)場合は、修繕をするために一時金が徴収されることがある。
たとえば、50戸のマンションで大規模修繕をするのに、あと1,000万円足りないとしよう。すると、ある日突然「来月末までに20万円振り込んでください」と言われることがあるかもしれない。
そのため、支払えない組合員が続出し、滞納や不平不満の大合唱になるわけだ。特に長期修繕計画がなく行き当たりばったりで、修繕積立金を徴収しているマンションは注意したい。
(3)最悪の選択肢・借り入れ
無理な値上げ、一時金の徴収で対処できたなら、まだよしとしなければいけない。いちばん悲惨なのは、借り入れだ。
大規模修繕を実施すべき時期に工事費が足りず、借り入れをした場合、返済が終わったころに、次の大規模修繕工事がきて、足りないのでまた借りるという悪循環に陥る。マンション全体で「多重債務者」になる可能性すらある。
借り入れしないで修繕を諦めると、尚更悲惨だ。居住者の安全・安心・快適なマンションライフは阻害され、いずれはスラム化、ひいては資産価値にも影響を及ぼしかねない。
「空き駐車場」のように、築年数が経てば経つほど、実際のマンション価格やローン金利とは別の部分で、無視できない支出に繋がる課題は増えていく。こうならないためにも、マンションを購入する際にそういったリスクがない物件か確認し、入居してからも管理組合の懐具合に気を配っていたほうがいい。